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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第6章 商隊護衛

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ヲタクドワーフ

アヤメ視点です。

神殿では定価の1割が魔法使用者ヘ渡されます。


妖魔の村で商隊の護衛は数日休みになった。

村とはいうが農村ではなく、ダークエルフの商館を中心にした市みたいな村だ。

前にこの村を通った時は路銀に不安があって、店を覗く事は出来なかった。


今回は冷夏と一緒に市を見て歩く。

下級神官になって私の懐は随分豊かになった。

私の神力は低く、日に4つしか使えないが、それでも神殿にいた時は1度の治癒魔法で銀貨1枚が貰えたので貯えがある。


「アヤメ、ドワーフさんが掘り出し物の鉢金あるって言ってるよ。」

「銀貨3枚だって。」

冷夏は魔導書との契約の力でドワーフ語も、エルフ語も普通に話す。


勧められた商品を見ると確かにドワーフ鋼のなかなかの一品だった。

「2枚なら買うと伝えてください。」

冷夏がドワーフと話を始める。


人間の街はギルドの力が強く、正規で買えば不良品(はずれ)の商品はない。

ただ、当たりの商品もない。

規格外の鉢金などは竜の島とハルピア以外では売ってさえいない。


「負けても銀貨2枚と銅貨10枚だって」

まずまずの価格になった。

ドワーフにしても買い手の少ない商品は捌きたいのだろう。

懐から貨幣を取り出す。


「アヤメ、火縄銃が売ってるよ!」

冷夏が興奮気味に店の隅にある木と鉄を組み合わせた筒を指差し、袖を引っ張ってきた。

私にはそれが武器なのかさえ、わからない。


そのことを冷夏に伝えたが、冷夏はドワーフとまた話を始める。

寡黙と言われるドワーフが随分熱心に話をし始めた。

ドワーフの心に火がついたみたいだ。


冷夏に聞いたドワーフの説明では、昔の転生者が持っていた[種子島]の複製品らしい。

倉庫にはまだ在庫があるから、一番良さそうな物を買わないかと冷夏を口説いているそうだ。

ドワーフはリザードマン語で言う[ヲタク]で、意気投合した冷夏と同伴者の私に高価なお茶まで振る舞ってくれた。


「冷夏、金貨3枚も使って大丈夫?」

買い物を終えて笑顔の冷夏に遠慮がちに声をかける。

冷夏の手には[種子島]とその使用方法の冊子があり、これから宿で読むのだと言う。


「大丈夫だよ。明日までに弾と火薬、火縄を用意してくれて、撃ち方とかも教えてもらえるよ。」

「村外れで試射までさせてくれるって。」

「見てよ。冊子が古い日本語なんだよ。」

どうやら、[種子島]は石弓の一種の様だ。

冷夏が[種子島]を気にいっているなら、大丈夫なのだろう。

[ヲタクを理解出来るのヲタクのみ]

そんな言葉をどこかで聞いた。

アヤメは慣用句っぽいものが好きだったりします。


私の黒歴史がまた1ページ。

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