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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第6章 商隊護衛

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平穏な旅

ゴルツ視点です。

ゴルツ視点だと、吟遊詩人(てんしょくえいじぇんと)とか書きたくなります(笑)

ノウルの街を出発して10日が過ぎた。

今日も街道をのろのろと商隊は進む。

北側は妖魔の森、南側は不毛の荒野、もう既に人間の領域ではない。


ジェフリー殿の誤算はロバート殿が英雄的な活躍をして、帰還したこと。

おかげで急遽出発する事になった。

いまだ武勇を重んじる国境の街で、ロバート殿の名声の拡がりを恐れたらしい。


ブリオン殿が病と高齢で床から離れられなくなり、ジェフリー殿が事実上の統治を始めてからまだ日が浅い。

母親の身分が低い三男、四男は別として他の兄弟達とは陰湿な争いをしたと漏れ聞いている。

ロバート殿が担ぎ出されたなら面倒になっただろう。


ノウルの街で新米冒険者を8組雇った。

統率の取れてない山賊や、ゴブリン避けならば、 頭数さえ揃えば充分なのだから新米冒険者で充分事足りるはずだ。


口減らしされた村人が街に出てきて、続々と冒険者になってゆく。

冒険者の店ギルドが吟遊詩人などを使い、そう仕向けている。


村でのゴブリン退治気分で冒険者になった連中が1人前になるには経験と運が欠かせない。

だが、まったく残念な連中ばかりだ。

金を払って経験を積ませてやっているのに誰1人感謝しないのだから。


ロバート殿の[五芒星]と借金で縛っている1組以外は人員が欠けた事を理由にパーティーを解散してしまった。

約束していた報酬を支払い契約を終了したが、報酬を受け取り泣き出す者もいる。


「こんなはずじゃなかった。」


馬鹿を言うな。

覚悟が足りない。

冒険者稼業で喰うなら、生き延びる事だ。

借金を残して全滅したパーティーを損金処理しなくてはならないこちらが泣きたいぐらいだ。


「ゴルツさま、そろそろ妖魔の村が見えます。」

下男が伝えてくる。


ハルピアとノウルの中間点、妖魔が支配する村があり、ダークエルフの簡易交易所がある。


「冒険者達に武器を絶対に抜くなと伝えろ。魔術も禁止だ。」

値段が合えば馬車2台分までなら穀物を売れる。

今年は豊作で穀物に余裕がある。


まとわりつく行商人達も色めき立つだろう。

ドワーフの工芸品に掘り出し物があることを[交易の神]に祈っているに違いない。


貨幣を統一してくれた昔の転生者に感謝した。

妖魔や魔族と争うなど、愚か者のする事だ。

金貨があれば皆わかりあえるのだから。

通貨が統一された世界観が€の例からして一番のファンタジーですね。

通常なら経済的に厳しくなり、独自通貨出す国出ます。

EUは国家間経済格差を実質的補助金で補い(今のところ)成り立たせてますから。


私の黒歴史がまた1ページ。


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