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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第1章 旅の始まり
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夜が明けて

ジグ☆冷夏☆ジグ視点です。

ソロス村に帰る森の小道です。

冷夏は病院服と個人識別タグ、スマホしか持っていません。

デグに背負われています。

病み上がりで、現代人の冷夏が裸足で2時間。道らしい道のない森の中は歩けないでしょうから。

朝になり、少女は目を覚ました。


昨夜は弟と何度か交代しながら、猟師小屋で夜を明かした。


硬いパンと干し肉で、朝食を取ったが、少女は悪戦苦闘していた。

やはり貴族なのだろう。貴族と平民では食べるパンの硬さと色が違う。


改めて、少女の状況を訪ねたが、少女は訳あって、竜の島から魔導具で転移してきた大地母神の歩き巫女だと淀みなく答えた。


ただ魔法の影響で記憶に障害が出ているらしい。


食事の前に大地母神に捧げた聖句には淀みはなく、一晩で随分落ち着いた様だ。

昨日は混乱していたのだろう。


大地母神の歩き巫女なら、叔父に話すには好都合。


それに冒険者として共に旅してくれるなら、なお好都合。神聖魔法の使い手は貴重で、街の神殿ならともかく、村には居ないのが当たり前だ。


至高神の旅司祭や大地母神の歩き巫女がパーティーに居るのと居ないのでは、冒険者の迎えかたがまるで違う。


最近まで村でも神聖魔法の使い手は居なかったが、街での修行を終えた叔母の1人が大地母神の下級神官として簡易神殿を開いて、近隣の村からも人が来る様になっている。


祖父の先見の明に改めて驚かされたばかりだ。


弟は聖女に接する様に少女に接している。


「う~ん、デグさん。色々お世話になっているけど、お礼とか、その、お金も持ってないし。」


「それにレイカ様って呼び方はちょっと。」


弟の聖女扱いに少女は戸惑っている。


しかし、世慣れてない少女と人と接するのが苦手な弟とのやり取りは見ていて飽きない。


癖なのか少女は小声で何か呟いている。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「ところでマドウこれからどうしよう?」


『新しい人生だ。好きに生きるがいい。今の肉体からは、そなたを蝕んでいた病は取り除かれているからな。』


「でも、生きるには、お金がいるけど、私は無一文だよ。」


「それにジグさん、デグさんは良い人だったからだけど、そうじゃなきゃ襲われてても不思議じゃないよぅ!」


『金ならば、神聖魔法で手に入る。』


『簡単な治癒の神聖魔法でも銀貨5〜10枚が相場。銀貨10枚あれば1ヶ月は食べて行ける。』


「マドウ、私、神聖魔法とか使えないし」


『先程からマドウと言っているが、もしかして我のことか……。』


「名前のない魔導書だからマドウで良いよね?それとも、権兵衛とかジョンとかが良い?」


『……マドウで良い……それに神聖魔法は使えるはずだ。インストールは成功しているからな。』


「インストールって人をスマホみたいに。神聖魔法ってアプリでもあるの?」


『そうではないが、わかりやすく説明するには十分だろう?一般にはインストールではなく、神の啓示を受けたと表現されるが、まぁ、表現の違いだ。』


『(死神の奴はインストールと表現してたがな。)』



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



弟の背中で少女は、また、うつらうつらし始めた。

村までは後、半刻ほどだ。

至高神の旅司祭、大地母神の歩き巫女は呼び方が違うだけで同じ様なものです。

また、神聖魔法が使える事が旅司祭、歩き巫女の就任条件です。

どちらも、人間社会では比較的安全に旅できます。

神がわかり易く実在する世界と、我々の住む神が居ないかもしれないぐらいわかり難い世界(微妙な表現は察してください。)では宗教関係者への敬意、神への恐れがまるで違います。

「罰が当たるよ」は我々の世界では、お年寄りの説教かもしれませんが、この世界では、本当に恐れるべき言葉なのです。

死者への供養が不十分だと、アンデッドが訪ねてくる世界だったら、死者への冒涜は避けますよね。


私の黒歴史がまた1ページ。

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