銅貨1枚
鬣という漢字初めてしりました。
変換なしには書けません。
ロバートとミケが持ち込んだ話は酷いものだった。
昼過ぎにはゴルツの下男が、冒険者を集めて、正式に発表するそうだ。
弟達はこの街の大地母神殿に出掛けている。
ミケも情報を集めに街に出ていない。
ロバートは新米冒険者の頭数を数え、まるでレイカの様に呟きつつ考えこんでいる。
それとなく関所の山賊についての噂を聞いてみたが、食い詰めた傭兵や冒険者が集まったものとしかわからなかった。
昼前
[五芒星]で情報交換をする為に6人部屋に集まった。
「[黒い鬣]と呼ばれているリーダーが山賊をまとめているようね。」
ミケが集めてきた情報を話す。
妖魔と繋がっているのもその人物らしい。
「つまり、そいつさえ排除出来れば山賊は立ち行かなくなる訳か。」
ロバートが確認する。
「でも、その二つ名以外、どんな人物か知られていません。」
アヤメも神殿で情報を集めた様だ。
「う~ん。山賊って関所に寝泊まりしてないよね?近くに拠点ないかな?」
レイカが疑問を口にする。
「あるでしょうね。」
ミケが短く答えた。
「山賊に拠点があるなら、[黒い鬣]とやらは拠点にいる可能性が高いだろうな。」
ロバートが視線だけでミケに問いかける。
「でも、すぐに探すのは難しいわ。荒れ地には岩山多いし、地の利は向こうにあるのだから。」
「探すのが難しいなら、逃げ込ませるしかないのでは?」
アヤメがミケとロバートを見て、そしてレイカに目を向ける。
「う~ん、アヤメ、それにミケさん。ロバートさんまで。」
レイカが困惑している。
跳躍の魔導具の他に、何か秘密でもあるのだろうか?
弟だけが、いつもどうり、平然としていた。
昼
貸し切られた食堂に商隊の冒険者が全員集められた。
ゴルツは予定通り姿を見せない。
ゴルツの下男が、吹き抜けの二階、テラス状になった部分に見下ろす様に姿を見せる。
[五芒星]と訳あり組2組、新米3組の計6組。
総勢31名の冒険者を前に下男が、[護衛依頼の一環としての山賊討伐]の話を始める。
「山賊討伐の危険手当てとして討伐終了まで、ゴルツ様が日当銅貨1枚の増額をお認めになりました。」
「ふざけるな!」
「聞いてない。」
「エール一杯で誤魔化すつもりか!」
この街では、エール一杯が丁度銅貨1枚、ゴルツなりの誠意だろうが逆効果だ。
怒りをみせる新米組。
訳あり組は暗い顔をしている。
「では、契約を破棄されますか?」
「今までお支払いした金額の倍お返しくだされば契約終了を認めます。」
新米組は黙り込む。
冒険者側の一方的契約破棄は報酬の倍返しが基本だ。
「一方的契約変更ではありませんか?」
新米組のブレナとかいう、1人の魔術師が食い下がる。
「見解の相違ですね。」
「冒険者の店ギルドに申し立てされるがよろしいでしょう。」
冒険者の店を通じて、冒険者の店ギルドに調停を頼めはする。
ただ無料ではないし、時間もかかるので、冒険者側から頼む事はまずない。
「他になければ討伐隊のリーダーを任命します。」
下男がロバートの方を見る。
「それは待ってくれ。」
ロバートが立ち上がりながら話す。
「依頼主に冒険者のリーダーを決める権利はないはずだ。」
ロバートは階段を上がってゆく。
「討伐隊のリーダーはパーティーの話し合いで決める。」
下男の横に迫ったロバートは舞台に上がった役者さながらだ。
「文句があるなら、冒険者の店ギルドに申し立ててくれ。」
芝居がかった動きをしながら、ロバートが主張する。
下男は「ゴルツさまにお伝えします。」とだけ答えそそくさと去った。
食堂には悄然とした空気と、冒険者だけが残された。
店はドイツのビアホールイメージです。
某有名人が一揆の前に演説した負の遺産の映像がイメージの元です。
銅貨の日本円換算は物価が違うので意味がありません。
が、1日銅貨4枚の手当てで、あちこち出張させられた記憶が何故か蘇りました(笑)。
契約の不利益変更を強要して誤魔化すのは、現実でも見受けられますね。(コロナ保険は約款の拡大解釈を元に戻すだけとか、文句があるなら裁判所で合いましょうってね。)
私の黒歴史がまた1ページ。




