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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第6章 商隊護衛

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呼び出し

状況説明に嘘が混じってたりします。



「ロバート様。ゴルツ様がお呼びです。」

商隊長の下男が仲間を呼びにきた。


「ミケ、良いか?」

仲間に同行を求められついてゆく。

勘が鋭いこの男が、私を同行させるのは何かあるかもしれない。


案内の下男にサインを送る。

この男には先日、貸しがある。

サインを返してよこした。

少なくとも、致命的な罠はない。

グリフォンの時の貸し借りはこれでなしだ。


この男はシーフギルドとつながりがある。

金で買える味方であり、金によって、敵にもなる男。

面倒がなくて良い。


商隊長が泊まる高額な宿に着くと、商隊長以外にもう一人の男が待っていた。


「これは、これは、お久しぶりです。兄上。」

仲間が、わざとらしく挨拶をする。

「父上はお元気ですかな?」


「ロバート、なんだその女は。玩具を見せびらかしたいのか?」

仲間に兄と呼ばれた男は私を見咎める。

私は公には玩具にしか見なされてない。


「聞き捨てなりませんな、兄上。我がパーティーの参謀を侮辱されては。」

参謀。

魔術士なのはまだ、伏せろと言う意味だ。


「そやつが参謀ならば、丁度良い。ロバートお前には山賊討伐をしてもらう。」

仲間の兄が一方的に言う。


「ゴルツ殿に話は通してある。」

仲間の兄がいうには、この先に勝手に関所を設けた山賊がいるらしい。

通行料金を勝手に徴収している。


もちろん、騎士領から正規兵を派遣したが、近づくと南の荒れ地に逃げ込んでしまい埒が明かない。

冒険者を雇う検討していた時に商隊が到着したという。


「山賊の数は30名ぐらい、関所には簡単な防衛設備も確認している。」

山賊にしては、なかなかの兵力。

しかし、根本的疑問がある。


「で、兄上、こちらの戦力は?」

仲間が問うと、何故か商隊長が答える。


「護衛の冒険者を任せる。」

「ジェフリー・ノウル殿が我らフォレスト商会に情報提供してくださったのだ。」

「商隊護衛の仕事と考えて欲しい。」

商隊長が平然と言う。


「ジェフリー、嵌めやがったな。」

仲間が静かに呟く。


「お前もノウル家の一員なら義務を果たせ。」

仲間の兄が席を立つ。


「ジェフリーさま、一つだけ質問よろしいでしょうか?」

私が口をはさむと、仲間の兄は足を止めた。


「山賊達の兵站は妖魔達ですね?」

根本的疑問。

30名もの兵力を保つには兵站がいる。

金銭を関所で得ても、食料は買わねばならない。


敵対するこの街から買うのは論外。

自給自足はあり得ない。

ハルピア方面に食料を買いに行くのは遠い。

妖魔から買う以外、兵站を持たせる方法がない。


仲間の兄は私を上から、下までじっくり眺め答えた。

「さあ、そこまではわからないよ、君。」

「君、名は?」


「ミケと申します。」


「ロバート。見目麗しい参謀とは羨ましい。先程の発言は謝罪するよ。」

仲間の兄は商隊長に見送られ出ていった。

妖魔側が関所を設けたとも考えられるので、正規兵を送るのはリスクが高すぎます。

だから嘘です。

(冒険者なら、冒険者が勝手にやりましたと言えます。)


現在でも民間軍事会社使って似た事は行われてますよね。


私の黒歴史がまた1ページ。

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