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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第6章 商隊護衛

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国境の街

依頼放棄は違約金を求められますが、パーティーメンバーに欠員が出るなどした場合はパーティーを解散して、事実上依頼の解約をすることが出来ます。

グリフォン急襲事件以降、これと言って問題なく商隊は進み、国境の街に到着した。


慰安馬車は当初現場に残されたが、近くの村から替え馬を調達して追いかけてきている。


表面上は無関係を装うが慰安馬車も商隊の一部なのだ。

ゴルツは個人的に随分サービスを受けたらしい。


リキタ伯の領都を出た冒険者は10組だったが、国境の街到着時は7組。

死者、重傷者を出し新米冒険者2組が解散。訳あり組1組が脱走した。


脱走組はどうやら街に入らず国境を越えたいようだった。

だから、消えたのは昨日。

今頃は街を迂回して、国境越えているだろう。


国境を越えると、政治的絡みがなければ、王国の法が及ばなくなる。

そういえば脱走組の1人は冒険者っぽくなかった。

脱出者を守る依頼を受けていたのだと思う。


国境の街は騎士ブリオン・ノウルが治める小さな街だ。

国境とは言っても隣国と接しているわけではない。

この先までジナリー王国の支配権が及ばないだけだ。


この先の道は妖魔の森の南の縁をなぞるよう抜け商業都市ハルピアまで通じている。

妖魔の森はダークエルフの部族連合が統治する妖魔の地。人間の支配は及ばない。

また森の南は岩ばかりの荒れ地が広がる不毛地帯が続く。


商隊はこの街で補給と再編を行う。

この街を出ると、しばらく補給がきかない。

馬車の整備も必要なら、逗留は長くなる。

金に窮してなければ、自腹になるが、冒険者の店に泊まり出発を待つのが得策だ。



「ねぇアヤメ。保存食でないご飯だよぅ。」

レイカが出てきた普通の食事に大喜びしている。


「レイカ、食前の祈りをしましょう。」

アヤメも落ち着いて見えるが、同じ心持ちの様だ。


弟は食事がくる前に既にエールを2杯空け、さらに注文を出した。


「今日はパーティー資金で後払いするけど程々にね。」

そう言い残し、ミケとロバートは連れ立ってでかけていく。

まさかとは思うが……。


「ジグさん。冷めますよ。」

アヤメに指摘されて急いで食事に手をつけた。


ミケとロバートが戻ったのは翌朝だった。

犯罪者は国境を目指す。

それを逃がすのも、追いかけて捕まえるのも、冒険者の仕事になります。


国次第で些細なことでも犯罪になるのは現代も、かわりません。

日本で総理大臣を公に批判しても死刑にはなりませんが、隣国では政治指導者の批判は死刑になります。(まあ国として認めていないので隣国と呼べるかさえ疑問ですが。)


私の黒歴史がまた1ページ。

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