空襲
商隊長のゴルツ目線です。
リキタ伯の領都を出発し数日が過ぎた。
馬車は荷馬車7台、雑馬車3台。
馬車を操るの使用人達に護衛の冒険者10組。
便乗でついてくる行商人達と勝手についてくる慰安馬車1台。
街道をのろのろと商隊は進む。
街道の両脇は森林が続いている。
ジナリー王国国境までは比較的治安も良く街道も整備されている。
野盗が出た情報もない。
国境の街まで、冒険者は追加せずに半分にすべきだった。
無駄な経費は極力減らすべきだ。
最初に気がついたのはしばらく前に王都で雇った下男だった。
どこぞの伯爵家の推薦状を持っていたが、多分偽造の書面だろう。
「上空に何かいます。ゴルツ商隊長様」
上を見る。獅子の身体に鷹の頭と翼。
魔獣グリフォンがを旋回している。
「上を見ろ冒険者!」
無駄口を叩いていた冒険者達が、のんびり上を向く。
「馬車から馬を外し、森に追い込め」
使用人達に命じる。
グリフォンの好物は馬肉。
だが馬がやられたら商品が運べなくなる。
行商人達はいち早く森に逃げ込んでいる。
何人かの冒険者も逃げ腰だ。
「グリフォンから商品を守れ!」
冒険者に激を飛ばす。
「ゴルツ様も退避を」
下男の案内に従い馬車から離れる。
冒険者の肉でグリフォンが満足してくれたら良いのだが。
グリフォンが急降下をはじめた。
狙いは……慰安馬車。
慰安馬車は馬鹿な御者が自分だけ逃げ出していた。
馬車が止まったので、寝ぼけ眼の女が出てきた。
グリフォンが馬2頭を一撃で仕留める。
馬車が横転し女達の悲鳴があがるが、外に出てきて嘴で一突きされた女よりはマシだろう。
新米冒険者達がグリフォンに向かってゆく。
リキタ伯爵の領都で冒険者を5組雇い入れたのは経費の無駄ではなかった。
慰安馬車の妓女を5 人追加したのは失敗だった。
一刻後、食事を終えたグリフォンは悠々と飛び去った。
被害は馬2頭、冒険者6名、妓女3名の死亡。
負傷者は重傷含め多数。
「商品に被害が出なかったのは不幸中の幸いです。」
下男が報告してくる。
冒険者に森に放った馬を探す様に指示を出し、お気に入りの妓女を雑馬車に呼ぶ様に下男に申しつけた。
馬車が動かせないので、ここで夜営になるだろう。
馬と新米冒険者、商隊長には馬の方が価値が高いのです。
ただ現代日本にも居ますよ。
駐車料金をケチり、駐禁取られたくない為に、炎天下に従業員立たせる経営者が。
私の黒歴史がまた1ページ。




