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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第5章 仮面の魔女

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白布を掲げる

転生者が降伏の合図として伝えたのですが、意味合いが変化しはじめてます。

全員で森を出て村を見る。

村長の家に白布が掲げてある。


「戦闘は終了したみたいだな。」

ロバートが言う。

昔の転生者が魔王軍と取り決めた戦闘終結の合図。

そんな古風な合図を掲げるのだからメデューサが勝ったのだろう。

ミモザ・リヒテは旧魔王軍の生き残りだと弟から聞いている。


村を迂回し領都に戻る。

その選択肢もあったが、ロバートの指示は違った。


「ジグ白布を掲げて、降伏交渉に行ってくれ。話が早いはずだ。レイカも連れてゆけ。」

弟がレイカを心配そうに見つめる。


「デグ、降伏の使者は神官などが勤めるのが慣例なんだよ。」

「だが嬢ちゃんは交渉が得意ではなさそうだからな。」

ミケが、こちらを心配そうに見つめてくれた。



白布を掲げて、村に入ると石仮面をつけたメデューサに広場で出迎えられた。

レイカは集められた死体に祈祷を始めている。


「しんかんがいなくてこまっとった。とむらいができんかって。そのこがレイカはん?」

自己紹介が終わったあと、魔女ミモザは訛の強い共通語、彼らの言う人間語で話しかけてくる。


降伏交渉はすんなり進んだ。

魔女ミモザは穏やかな人物だった。

村人の半数以上を石化させるか、殺害したメデューサとは思えない。


様々な条件を出されたが、いくつかの譲歩も織り交ぜられており、そこまで厳しい条件はなかった。


・伯爵と交渉したいので[五芒星]には親書を領都まで運んで欲しい。


・大地母神殿には[五芒星]が仕事を果たしたと証明書は書く。


・誰か1人は人質として残ってもらいたい。


・老神官には講和文書に署名し村人をまとめて欲しい。


・講和すれば石化した村人を徐々に治すし、一揆を起こしたことも許す。


全員で協議し、魔女ミモザの条件を受け入れ降伏した。

人質としてはククルを残す事にした。


「わ、私は[五芒星]ではないです。人質として何で残されるんですか?」

ククルが半泣きでミケにしがみつく。


「私は[五芒星]と関係ない村長派の冒険者です。ってミモザに話しに言ったら?止めないわよ。」


「レイカ、広場の村長の首は3日経ったら埋葬してって言われてたわよね?」

レイカは黙って頷く。


「大丈夫、しばらくは使い走りで領都と聖女ミモザ村を行き来するから。」

「タイミング見て拾ってあげるわよ。」


こうして推薦依頼は無事達成した。


ロバートに、なぜ逃げずに降伏したかを尋ねたが、かえってきた答えは良くわからなかった。


「軍服が旧魔王軍の下士官の制服だったからだ。」

気のせいだと思うがミケが、ほんの一瞬見透かす様な目をした。

ロバートの勘の良さは無意識に洞察しているので、理由をきいても無駄です。

探偵にでも転生すれば相棒が解説してくれるかも(笑)


私の黒歴史がまた1ページ。



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