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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第5章 仮面の魔女

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誤算

簡易神殿は村の外れ、少し高台になった場所にあります。

夕方

村に戻ると予測通りレイカが先について待っていた。

森から簡易神殿まで転移魔法を使ったらしい。

ミケを見て抱きついた。

ミケは苦笑していた。

レイカは思ったよりも落ち着いている。


興奮冷めやらぬのはソバカスの魔術師だった。

ククルと言う名のソバカス魔術師が言うには転移魔法は魔法陣を描き、儀式に3日を要すると言う。


「レイカさん。レイカさんって魔族だったりしませんよね。」

「もしくはハイエルフだとか?」

「大魔法を使える人間って魔術師ギルドのギルド長以外には居ないはずなんですよ~。」

ククルが早口で訊く。


「う~ん、魔導具の力だよ。」

レイカは困惑している。


「え、転移の魔導具?」

「大魔法級の魔導具ですよね?凄いです。」

「魔王の館の宝物庫にあるって記録を読んだことあります。」

「どこから手に入れたものですか?先祖伝来とか?」

ククルが畳み掛ける。


「買ったんだよ。ネットで6万くらいだったよ。」


「金貨6万枚って小国の国家予算ですよ。」

「レイカさんて、ハルピアの大商会のお嬢様?」

「なんて言う魔導具ですか?」


「う~ん、凄い魔法の道具。略してスマホだよ。」

ククルが質問攻めにしているが、レイカの返事は要領を得ない。

もし、とぼけているなら、レイカは中々の役者なのだが。


怪我の治療もあり、ロバートは村長に魔女の存在と[三本の矢]は死亡したとだけ報告した。

関係者が簡易神殿に集められるのは夜になってから。

そこで詳しい報告と話し合いをするはずだった。



「婆さんを連れて脱出するぞ。」

ロバートが声をかけてきた。

赤髭の傭兵崩れが村長が村人を集めていると知らせてくれたのだ。


日々の農作業で自然と鍛えられた複数の男女。

集団的熱狂に駆られた人間は恐ろしく、残酷になる。

取り囲まれたら、何人かは倒せても、やがて体力が尽き、嬲り殺しにされる。


魔女は存在した。

このままでは開墾は中止になる。

村長としては受け入れ難い事実だろう。

だから実力行使で反対派を黙らせる。

魔女の正体を伝えていないのが災いした。


偵察に出ていたミケが街への道にも村人が配されているとロバートに報告している。

ミケの今日の魔力は尽きている。

魔法の掩護は期待出来ない。


外見ると村の広場に松明の灯りが集まり始めている。

美しいが恐ろしい光景だ。

このまま村人に捕まれば明日には村外れにでも吊るされているだろう。


「まずは魔女の森に向かう。」

ロバートが説明する。

「そこで潜伏して警戒が緩んだら脱出する。」


領都への道と魔女の森の方向は反対になる。

今ならばまだ森への道は封鎖されていない。


[五芒星]+2 と老神官で簡易神殿から脱出した。

開墾反対派の3割の村人も村長が実力行使に出るなら反対しません。

老神官側も扇動すればわかりませんが、その時は村人どうしが争う酷い状態になります。


私の黒歴史がまた1ページ。

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