仮面
魔術師ギルドではゴミ処理にスライムを利用しています。
村長と男達が去って女だけになった後、ソバカスが老女に話かける。
「先程はご馳走さまでした神官さま。」
「[三本の矢]に報酬をピンハネされて厳しかったんです。」
「村長からパーティー払いで銀200 枚前払いで全額払ったって聞いてびっくりしました。」
「[三本の矢]はパーティーで銀100枚経費込み後払いって。」
「報酬を前借りして、移動中の保存食節約しましたよ。」
「村での食事は使用人と同じで量少ないですし。」
「赤髭みたいに酒が飲めれば気にしないわけではないですから。」
畳み掛ける様に話す。
転生者が「魔術師って早口の練習もするの?」と呟やいている。
魔導書はなんと答えたのだろう。
「実は今朝その事で[三本の矢]と揉めたんです。」
それで報酬の再分配をしたらしい。
[三本の矢]は気まずいのか魔女の森に自分達だけで出掛け戻っていない。
赤髭の傭兵崩れは、昼間から呑んでしまい「ゴミ捨て場のスライム」の様だという。
「ユウ坊やは、そこらへんが甘いからのう。」
老女がしみじみ話す。
聞けば村長は、老女の弟の孫。
こんな村に簡易神殿があるのは老女が村長の血族だからこそ。
相手の冒険者も瓦解し、血を見るような争いにはならないと見ている。
おいしい依頼になった。
「神官さま[魔女の仮面]ってなんですか?」
ソバカスが老女に訊ねる。
「[三本の矢]が[魔女の仮面]を持ち帰れば依頼は達成出来る。」
って出て行ったんですけど。
「伝承では魔女が村に用がある時、魔法の石仮面をつけて現れたと言われておる。」
「騎士に破れた傷痕を隠す為とも、美しすぎる顔を隠していたとも言うのじゃが。」
老女が生まれてから、一度も村に魔女が訪れた記録はないという。
「う~ん。はぐれエルフさんの可能性は?」
転生者が疑問を投げてきた。
「可能性は低いわね。」
確かにエルフなら長寿だし、[エルフ魔法]も使うだろう。
ただその場合騎士が、ただの降伏を認めないだろう。
魔女と言うからに女エルフなのだろうし、降伏したなら、伯爵なり自身なりの玩具にするも良し、贈答品や下賜品にしても良い。
エルフとしても破れて降伏するぐらいなら自害する。
それに仮面では耳は隠せない。
エルフなら判るし、判れば伝承に残るだろう。
「[魔女の仮面]があれば魔女の不在を証明出来ますよね?」
ソバカスの意見に、老女が渋い顔で肯定する。
平和裏になら[五芒星]としては開墾派が勝っても、問題はない。
転生者は「ゴミ捨て場のスライムって……」と魔導書と交信中。
私は楽観していた。
しかし[三本の矢]は3日過ぎても戻らなかった。
スライムは某ゲームの影響で雑魚扱いされてますが、
金属以外は溶かして消化してしまうので、ゴミ捨て場にいると便利です。
スライムも餌貰えてWin-Winですよ(笑)
私の黒歴史がまた1ページ。




