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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第5章 仮面の魔女

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推薦依頼

下級神官から簡易神殿が開けます。

神官から歩き巫女になれます。

魔術師ほどではないですが、神官修業はお金かかるので、平民でも村の有力者の子女クラスではないと厳しいです。

「今回の依頼内容なのだけど……」

ミケが話始める。

アヤメと言う名のレイカの友人は既に店を出ている。


きっかけは老神官から神殿への手紙だった。

領都から北に10日行った所にミモザ村がある。

そこに老齢の大地母神の神官が簡易神殿を開いているのだが、手紙には「村で争いごとがあり仲裁に冒険者を派遣してほしい。」

と書かれていた。


神殿が調べたところでは、村には開墾を進めて畑を拡げたい派と反対派がいる。

老神官は反対派なのだが、賛成派の村長らが冒険者を雇い強引に事を進めようとしているとの事。


そこで今回の依頼は

①簡易神殿と老神官の保護。

②村の争いの仲裁。

③仲裁不可能時は老神官を領都神殿に連れ帰る。

と言う条件になっている。


「……正直、微妙な条件。村長側の冒険者と殺り合う可能性もある。」

「ただ報酬は金貨20枚のパーティー払い。半額前払いで、移動中の食料などの経費は神殿持ち。」


「報酬は破格だな。」

ロバートさんが言う。

「村長派の冒険者は?」


「軽戦士3人が傭兵崩れ1人と魔術師1人を臨時雇いしたパーティー。」

「[三本の矢]+2 ね。」

ミケが調査済の話をする。


「[三本の矢]だって?」

「あいつら、お届け依頼以外も受けることあるのか?」

ロバートさんが逆に驚く。

弟が村で激高した相手のパーティー、正直たいした事はない。

「なるほど、面倒くさい条件かと思ったが、あいつら相手なら、微妙だな。」


自分も疑問があった。

「ミケ、大地母神は開墾を奨励しそうなものだが、老神官は反対派なのかい?」


「そう聞いているわ。」

「そして反対派は村の3割程で少数派ね。」

「反対の理由まではわからなかったわ。」


「う~ん。いいですか?」

レイカが手を上げ質問する。

「うちのパーティーが推薦された理由ってなんでしょう?」


「わかりやすく実力ある歩き巫女がいて、しかも失っても神殿として影響がないからよ。」

政治が絡まない有能な神官は教団として貴重だろう。


「レイカは自覚ないかもしれないけど、冒険者界隈では貴女は有名なのよ。8つ使える歩き巫女がいるって。」

「[人狼斬り]ほどではないけどね。」

レイカは驚いて、また呟く癖に戻った。

弟はただ黙っている。


「最後に+2 についてはどうだ?」

ロバートさんが確認する。


「傭兵崩れは酒が入ってなければ、実力は並。魔術師は奨学金漬けの若い女魔術師。大した事はないわ。」


「ならば決まりだな。[三本の矢]と牽制しあって、金貨20枚なら充分だろう。」

ロバートさんの音頭で乾杯した。

出発は明後日だ。

目的は果たせる実力があり、死んでも惜しくない。

冒険者の肝ですよね(笑)

発想がブラック経営者……。


私の黒歴史がまた1ページ。

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