矜恃の扱い
啓示を受けた後、平民は下級神官、貴族は神官になる慣例があります。
下級神官で経験を積むと神官になれます。
仲間と禿頭がお届け依頼から無事戻ってきた。
赤毛と転生者とも話して、そろそろ[五芒星]として、次の依頼を探すことになった。
私が依頼の掲示板を眺めていると、転生者あてに先日のおかっぱ娘が訪ねてきている。
噂になっている人狼斬りの娘、店がざわついている。
[解析](使1残6)
竜人。女性
大地母神の啓示あり。
能力(魔0聖4竜1)
杜若(+3)リザードマン刀
禿頭や赤毛などより腕がたつ、しかも魔剣持ち。
歩き巫女として独り立ちしたら、転生者を通してスカウトしよう。
赤毛は剣は一般兵並、街中を歩くときの屑除けとしては充分な腕前だが、冒険者としては物足りない。
試した感じとしては悪くなかったから及第点といったところ。
「見習いの4人部屋から、下級神官用2人部屋に移りました。」
「しかも同室者なしの実質1人部屋です。」
竜人が転生者と笑いながら話す。
「アヤメ凄い。出世したねぇ〜。嬉しいよ。」
転生者が自分の事の様に喜んでいる。
意味がわからない。
「レイカのおかげです。」
「早く下級神官から神官になって、歩き巫女になれる様に精進します。」
転生者と話し終わった後、竜人が、こちらを見ている。
どうやら、修業の気晴らしにきた訳ではないらしい。
「レイカのパーティーの責任者は、あの方ですか?」
竜人が話している途中、栗毛が注文していた料理を運んできた。
「ん、そうだよ。ミケさんが責任者。」
転生者が料理に早速手をつけながら話す。
仲間が苦笑している。
「[五芒星]の責任者はロバートよ。レイカ。」
「私はその補佐。」
にこやかに訂正する。
仲間は気にしないと、わかってはいる。
しかし、男の矜恃は傷つけない方が無難と経験上学んでいる。
それに仲間は貴族の端くれなのだし、リーダーには適任と考えている。
「実は神殿から依頼を発注してくる様に言われて、書面を預っています。」
「推薦依頼なので先にお話出来たらと思いまして。」
「推薦依頼?」
転生者が不思議そうな顔をする。
「このパーティーが受けてくれるなら、優先して依頼します。が、推薦依頼よ。」
転生者には教えておいた方が良いだろう。
「後、パーティー指定の指定依頼。」
「条件明示しての公開依頼。」
「1番安い価格つけたパーティーに依頼する入札依頼などがあるわ。」
「冒険者の店に入る手数料が変わるし、メリット、デメリットもそれぞれね。」
竜人は仲間と話している。
「……なるほど、ミケ殿に話をすれば良いですか?」
不可解そうな顔をする。
矜恃を宥める手続きは必要なのよ。竜人。
仲間は笑いながらカウンターのドワーフにエールのお替りを頼む。
「内容を聞かせてもらえる?」
テーブル席の竜人の横に私は座る事にした。
新章スタートです。
私の黒歴史がまた1ページ。




