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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第4章 領都にて

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籠城

ひいふうみいは、アヤメの刀術の掛け声みたいなものです。

アヤメ視点です。

ひいふうみい。

半ば無意識に身体が動いた。

固まってしまった2人の前に出て人狼に斬りつける。


無論人狼に攻撃が通る訳ではない。

ただ受け流し、時間を稼ぐ。そのぐらいは出来るはず。


「逃げて下さい。長くは持ちません。」

2人とも一瞬の逡巡は見せたが階段にむけて走る。

人狼は攻撃が効かないのを理解し間合いを詰めてくる。


左右の爪と噛みつこうとしてくる牙。

足捌きで対応を試みるが、躱しきれない。

爪で左肩をざっくり裂かれる。

左肩なら骨までは持っていかれないだろう。


悲鳴と何かが落ちる重い音。

「先生?先生?」

レイカさんの声。

先生が階段を踏み外した様だ。


人狼が突進してくる。

それに合わせて刀を突きだす。

弾かれて体勢を崩された。

思わず後ろに跳ぶと人狼は私をすり抜け階段に向う。

(しまった!)


「[死神の閃光]」(使1残7)

階段からレイカさんの声。

「[死神よ気弾を人狼に]」(使2残5)

更にレイカさんの声。

人狼の唸り声と苦痛の声がして気配が遠ざかる。


「アヤメちゃん。先生運ぶの手伝って。」

レイカさんが声をかけてくる。

2人で先生を1番奥の部屋まで運び自らも立て籠もる。

他の部屋に入りたくとも鍵束から鍵を探す時間が惜しい。

この部屋の鍵は吹き飛んでいるので、扉の前に障害物を積む。


「[大地母神よ致命傷だけ癒やし給え]」(使2残3)

目覚めない先生にレイカさんが治癒魔法を使う。

先生は目覚めないが、かいていたイビキはとまった。


咄嗟に立て籠もりはしたが状況は絶望的。

建物入口は頑強で、鍵もかけてきている。

隔離病棟と言う大きな檻。

人狼が外に放たれなかったのは幸いだが、朝までに3人とも喰い殺される。

人狼が外に出られないと理解し、戻る迄の命。


2人を斬り、私は腹を斬ろうか?

そんな事を考えていると、

「アヤメちゃん。怪我してる肩見せて。」

レイカさんが話してくる。

布を巻いて止血は済ませている。少し熱を持っているが、痛みは酷くない。


「ほっとくと、アヤメちゃんまで人狼になっちゃうよ。」

レイカさんは諦めていない。

少し逡巡したが左肩と傷を見せた。

「この鱗みたいなので止まったのかな?傷は深くないよ。」

「[大地母神よ人狼による傷を癒やし給え。]」(使2残1)


私は左肩の鱗を見せると共に、レイカさんに自分がハルピアの産まれではなく、竜の島出身の竜人だと告白した。

レイカさんは少し不思議そうな顔をしたが

「それがどういう意味なのか分からない。私は転生者でこの世界にきたばかりだから。」

と、自分の秘密も明かしてくれた。


互いの秘密を明かしたからか、レイカさんにより親近感を感じ初めていた。

竜人族の真祖と同じ転生者に大変不敬だとは思うが……。

頭を強く打って意識不明は現代でも一刻を争います。

神聖魔法なき現代では直ぐに医療機関へ。


私の黒歴史がまた1ページ。

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