とりあえず
冷夏視点です。
「ふぅん〜そうなんだ」
私が鈴木島で過ごしている間の[竜の卵]と[鶏口牛後]の冒険をレイカルさんから聞いて頷きました。ケリー先生はお元気そうだし、リグ君はブレナさん夫妻に無事引き取られた様で安心した。
(冷夏に話づらい事は伏せられてると思うがな)
それはそうだよマドウ。
「ラーメンはどうですか?〜」
「うん、ちゃんとラーメンだよ。美味しい」
デポさんの問いにも答えると、レイカルさんが大地母神殿主催の炊き出しでラーメン屋台を開くと言う。ただ鶏ガラ醤油を聖女風、豚骨醤油を魔族風と名付けるのはどうかとは思うけど……。
「春まで、もう少しですが温かいラーメンは人気出ると思います」
それまで無言だったリリさんが大地母神殿の様子を語り始めた。親しい人以外には、あまり話さないリリさんだから誤解されがちだけど、[怠惰のリリ]は誤った二つ名だと思ってる。
「お師匠様は、これからどうなさるおつもりですか?」
レイカルさんの問いに正直、私は迷っていた。居ない間に溜まっていた手紙を見ると菖蒲にも会いたいし、魔王都にも行きたい。それに西の共和国や帝国、東の聖都も見てみたい。
「春まではハルピアに居た方が良いっす。寒い中歩くのはルチェが大変そうっすよ」
「確かに寒いのは苦手ですガ、私のせいにするのはズルいでス。商隊では茶殻さんこそ『寒い』とボヤいてましタ」
「[聖女]の健在を示して欲しいと神官長頭が……」
「[狭間筒]の整備が終わったと伝言がある」
「むぅ!」
春までハルピアで、ゆっくりするつもりだけど、ゆっくり出来なさそう。ただ少しは稼がないといけないから大地母神殿で少しお勤めかな。
花江ちゃんに贈る本も見繕う必要あるし、逆に土江さんから[魔道転写]させてもらった魔族の医学薬学書も読みたい。
(FIREする資産は十分にあるだろう?)
マドウ。FIREなんて言葉いつ覚えたの?
「レイカル〜愚者の石が〜もう一つあります〜私用に〜[聖女の書]をコピーして下さい〜」
デポさんがレイカルさんにサラッと重要な事を話している。マドウをコピーしたら[大魔法]使える様になるよね?マドウ。
(いや術式を写しても契約上、そのまま使える様にはならない。レイカルは冷夏のコピーだから可能だが。デポのは研究用だろう)
「お師匠様さえよろしければ、しばらく神殿で学ばせて下さいませんか?不在になさっている間に思う所がありまして」
「むぅ。とりあえず春までハルピアに居るよ。でも私から学ぶ事なんてある?」
「神獣の秘術一つ取っても、お伺いしたいことが……」
「神獣?秘術?」
(逆に色々聞いた方が良さそうな話だ。冷夏)
うーん、何か大変そうだぞ。マドウ。
この章はこれで終わりです。
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投稿再開は春頃を予定しています。
(他のお話書きたくなりました。)
私の黒歴史がまた1ページ。




