あなたが落としたのは
デグ視点です。
[永遠の神]に魅入られる可能性は低いのですが。
レイカさまが休んでいるテントから呻き声がする。
慌てて駆け込むと、半透明の女性がレイカさまの首を絞めている。
まるでレイカさまに手をついて逆立ちしているかの様だ。
持っていた戦斧を横薙ぎにふるう。
だが相手の身体をすり抜け、全く手応えがない。
「無駄よ。そんなもの効かないわ。」
昼間見た死体が生前の姿で、
優雅ささえ漂わせた声で言う。
その半透明の女性はレイカさまから離れたが、レイカさまは苦しんでいる。
「やはりレイスか!」
自分の後からきたミケさんがレイスに向けて手を差し示すと、3本の光の矢が飛び出して
レイスに当たる。(使1残6)
多少ダメージがあった様だが、レイスは全く気にしていない。
「そこでこの娘が死ぬのを見ていなさい。」
レイスは楽しそうに告げる。
「魔力付与を」
ミケさんに伝えた。
ミケさんは首を振る。
「レイスには神聖付与武器しか効かない。」
レイカさまは苦しそうな喘ぎ声を上げている。
このままではレイカさまが……。
「デグ!死神の加護を祈れ!」
ミケさんが叫ぶ。
「お前の聖女が死ぬぞ!」
しかし、俺には何の力も……。
(正直に貴方の望みを)
俺の望み?
(そう望みを)
望み?
「レイカ!!」
俺は叫び戦斧を振るった。
斧が一瞬白く輝き(使1残2)今度は手応えがあった。
レイスが恐ろしい絶叫を残し消える。
あたりに静けさが戻った。
苦しんでいたレイカさまは既に息をしていない。
俺は戦斧をとり落とし、レイカさまを抱きしめた。
レイカさまは、まだ温かかった。
私の黒歴史がまた1ページ。




