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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第17章 聖女の不在

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ネコミミ

冷夏視点です。

目が合った[赤左衛門]は、ゆっくりと地表近くまで降りてきた。


(手を触れてみろレイカ。そうすれば起動診断等は、こちらでやる)


マドウにそう言われて、初めて子猫に触るかの様に、ゆっくりと手を伸ばす。

もちろん直径2メートルの金属球の赤左衛門は子猫とは違うが、ネコミミを倒したり起こしたりしている。

そして赤左衛門の側面に触れたが、予想に反してほんのり温かい。


(予想通り、試作魔獣として色々試してあるな。簡単なスペックを出してみるぞ)


[赤左衛門]

直径 2.12m 

表皮 銅ミスリル合金

魔力 60

兵装 魔力変換型レーザー

最大射程 300m

最大飛行速度 120km

最大速度まで1.2セコンド


うーん、マドウ。

私はスペック聞いても凄いかどうかわからないぞ。


(そうだな。普通の左衛門が魔力80、左衛門改が100だから60は少ない)


(だが、表皮に銅ミスリル合金を使い強度は保ったまま、排熱が改善されている。更に左衛門改と同じ事で強制排熱システムもある。)


えっと、前世のお師匠、赤毛の看護師さんの雑学では、確か銅の熱伝導率は鉄の5倍ぐらいだったかな?

でも、ミスリルという謎金属との合金だから良くわからない。


(排熱問題の改善により魔力変換レーザーの出力を上げてあり射程は3倍に伸び、連射も可能。)


(そして何より補助知覚システムの導入により、レーザー発射時でも、目を閉じていても周りが知覚出来る。レーザーの命中率は格段に違うはずだ。)


ん?

それってネコミミの事?


(ネコミミ……まぁ、そうだ。赤左衛門には電探による補助知覚機能が付いている。)


鉱山で左衛門改に追われた時、確かにレーザーの命中率の低さに助けられた。

それは発射準備で停止するのと、照射までタイムラグがあるからと考えていたけど違うんだ。


(いや、違う訳では無い。が、レーザー発射モード中の左衛門は目が見えないから事前観測の射界から逃れられると、当たらなかった。赤左衛門はそれが改善されている)


「……………………」


ん?

マドウ、赤左衛門が何か喋ったよ?


(音声による出力機能は無いが、触れていれば魔力で意思疎通は出来るだろう。それに左衛門側は周りの音は振動を感知して聴いている。)


(人間は喋れない者などで、意思疎通が出来ない者の知性を低く評価するきらいがあるが、左衛門は高い知性を持つ魔獣だぞ)


それはやはり前世のお師匠から聞いた。


「介護が必要なお年寄りや、病気で喋れなくなった人に[赤ちゃん言葉]で話かけてはいけない。意思表示が出来ないだけの人を侮辱する事になりかねないからだ。分かるか冷夏」


つい、丁寧に接するつもりでも、言葉が通じないと相手を馬鹿にした様な感じになる事がある。


「…………………」

赤左衛門が、また喋る。

今度は聞き取る事が出来た。


「こちらこそ、よろしくね赤左衛門。」


そう私が言うと赤左衛門はウインク?してくれた。


☆☆☆


「[聖女]様、お義母様が呼んでる」

首から大地母神の聖印を下げた花江ちゃんがラボに入ってきた。


どうやら元々の鈴木家はマンドラゴラ農家が母体だった為か、大地母神を信仰していたらしく、館には礼拝室もあるらしい。

ただ水江さんは大地母神への信仰心が薄く物置にしていたそうだ。


「お義母様は医学と薬学を修めたから、[学問の神]様の方が好きみたい。」

歩きながら、花江ちゃんが教えてくれる。


「そう言えばありがとう、[聖女]様。聖印もらってから、彷徨っている変なゴーストに会わなくなった」

ん?


「え、えっと、花江ちゃん。この近くゴースト、アンデット彷徨ってるの?」


「アンデットじゃないよ。アンデットは[永遠の神]に魅入られて成るから、『ゴーストは大地母神様の国に行けなかった魂や魂の欠片。[霊視]の天啓ないと基本見えないし、[霊媒]の天啓持つ人にしか干渉出来ない。』って本に書いてあった。」

うーん、六番感覚の世界。

マドウ、どうなってるの?


(それは死神に仕えるレイカの領域だろう?ハルピア神殿にも退魔の長が居たはずだが?)


え?あそこはアンデット対策を冒険者に依頼するだけの閑職だって聞いたけど?

神殿の実動は神官戦士と聖戦士を統べる神官戦士長が担うから。


(そうか……レイカは銀色紐の退魔師を見た事はないか……。)

そんな資格あるの初めて知ったぞ、マドウ。


「[聖女]様、花江様、その後ろの物はなんでございましょう?」

使用人の竜人のお婆さんが突然話かけてきた。


そんな話をしていたからか、私は飛び上がる様に後ろを見る。

今の心臓は問題ないけど、止まるかと思った。


「[聖女]様が起こした[赤左衛門]だよ。」

花江ちゃんが少しも動じずに答える。


直ぐ後ろに赤左衛門が気配も無く付いて来ていた。

うーん、静音性能高い。

姿は全く違うけど、なんか猫みたいだ。


「裏口からは無理でございましょう。表口に、おまわり下さい。」

いや、これは水江さんを外に呼んでもらった方が良さそうだぞ。


何故か赤左衛門は機嫌よさそうに()()()()を上下させていた。

「球形にネコミミ。未来から来た猫型ロ◯ットのイメージですか?」

「左衛門は〜そうでなくても〜呪いがありそうですから〜余計な事は〜言わないですよ〜」

「でもミスリル合金ですか〜前のアダマンタイトといい〜試作品は〜採算度外視してますね〜」

「お師匠様の言うロマンありますね。」


私の黒歴史がまた1ページ

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