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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第17章 聖女の不在

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海の幸?

冷夏視点です。

「実は……しばらく前に難波した妖魔族の軍船から、ゴブリンの集落にダークエルフが流れ着いた様なのです。」

水江さんが困った様に話をするのを、食後のハーブティーを飲みながら聞く。


実は食事中に話は始まったが、花江ちゃんの教育に悪いと給仕の竜人のお爺さんに止められて、食事中は中断していたからだ。

確かに難しい話は、ご馳走を食べた後の方が良いと思う。


(食事をしながら、情報を交換ぐらいは普通だ。レイカは貴族や政治家向きではないな。)

そんなのは知ってるぞマドウ。


マドウの講義では、ダークエルフが居るとゴブリンの内紛が減り、数が増えやすくなる。


(その通りだ)


そうでなくても、生存に適した資源や環境が限られる島ではゴブリンの大繁殖は生態系に致命傷を与える。

まぁ、それで結果ゴブリンも滅ぶだろうけど……。



水江さんの話では鈴木島には三つの集落があると言う。

それぞれが海に面した村で、島に近づける位置にある事で出来たそうだ。


北の砂浜に面した竜人の村、東の港に面した、ここ魔族の村。

そして南西の小さな砂浜に面したゴブリンの村。

農作をしないゴブリン以外は田畑は村の近くにある。


それ以外の島の周辺は岩礁と絶壁に阻まれ、翼でもない限り島には近付く事は出来ないし、海辺以外は基本深い森に包まれている。


そして鈴木島の周りは、少し北に無人島の竜別島がある以外、陸地は見当たらず、南には大海が広がるだけ。

航路も、この島を目指す船以外の航路はない。


ただ風と海流の関係でデーマンタイト諸島や共和国行航路の船が嵐に会うと、近くに流されてくるらしい。

残酷な話だけど、北の竜人村と南西のゴブリン村にとって難破船の荷は臨時収入以外のなにものではない。


そして、その荷は生き残った人員も含めての話になる……。

私も魔族の姿をしていなければ……と思うと、ぞっとしたよ。



「デポトワール閣下にはゴブリン駆除の為の冒険者の派遣を頼んだのですが……。」


「うーん、ゴブリン討伐はよくある依頼だけど、鈴木島は遠いからなぁ。必要経費前払いでも厳しいかな……」


多分[竜の卵]に依頼が来ても多分断わったと思う。

それに水江さんの話からすると、近日中にゴブリンが溢れてしまいそうだから冒険者は、もう間に合わない。


「下級魔族や竜人達で自警団を組織したのですが戦える者は少なく、また負傷すると働き手を失いかねないので皆消極的です。対してゴブリンの数は多くて……」


「戦いは個々の強さより、数だからね。火力があれば話が違う……ん?」

そこで私は気がついた。


「魔族なら魔法でゴブリンと戦えないの?それに水江さんのお姉さんは[左衛門]の開発者だよね?何か使える物はないの?」


下級魔族とは魔力が10()()()()魔族の事だけど、人間なら魔力10が例外を除き最高値だ。

それに付与魔法に長けた魔獣開発者なら魔剣ぐらいはあるかも知れない。

だが私の問いに水江さんは頭を振る。


「下級魔族は生活に魔法は使いますが、戦闘的な魔法は不慣れです。人間の魔術師の様に戦闘訓練を受けている訳ではありません。それに姉のラボにあったお金になりそうな武具などはすでに売ってしまいました。」


むぅ。

確かに魔剣とかは高く売れるだろうし、島の生活には必要なさそうだ。

しかし、そうなるとゴブリン討伐は難しいか……。


(レイカ、ラボがあるなら見せてもらえ。)


「うーん、明日にでもお姉さんのラボって見せて貰える?」


「それは構いません。館の端にある農業小屋を改装したのが姉のラボになります。」


鈴木家は元々はマンドラゴラ農家で、農業用ゴーレムの作成を得意としていたそうだ。

そして、そんな一家に生まれた天才がお姉さんの土江さんで軍の奨学金を使い王都に留学して、そのまま軍に入ったとの事。

第一次魔王戦争の頃だと言うから、だいぶ昔だけど。


その後は逆に、私がハルピアでの事などの話をした。

後、水江さんを改めて領主代行に任命する書面一式を作ってもらいサインをしたり、島にいる間は魔族のフリを続ける事など細々した事を詰める。

そして最後にお姉さんの日記の話になった。


「しかし、姉に恋人がいたのは知りませんでした。成り上がり士爵だった姉と北の公爵の子息。身分が違い過ぎたからかもしれませんが……。」


土江さんの日記の原本はアルベロ伯爵のお城の書庫に納められたはず。

残念だけど、写本さえ手に入れるのは難しいかな……。

(戦闘は火力や数でなく戦術だと教えたはずだが?)


うーん、火力や数を、いかに集中するかが戦術でしょ?

タイミング良く、局所的に数的優位つくるとか苦心する話は良くあるよ。


(あながち間違えでもないが……)


それに個人の白兵戦はフィジカル勝負になるけど、離れて小火器ライフル撃てば、私でもオーガに勝てるかも知れない。


(白兵戦は技ではないのか?)


技は初見殺しには役立つけど、そうでないならフィジカルだと思うよ。

ボクシングも柔道もレスリングも体重別だから。


(武器を使った競技は体重別ではないだろう?)


そうかな?剣や槍は基本、長い方が強いし長い槍や剣は重いよ。


私の黒歴史がまた1ページ。


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