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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第17章 聖女の不在

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入電

ルチェ視点です。

「デポトワール様、鈴木島より入電がありました。」

ポンコツを名乗る魔族さんガ、桃色の水晶玉の様な物を持っテ、店に入って来ましタ。

私が陛下の側近である竜胆りんどう様に仕える事を知る数少ない人物でス。


「再要請ですか〜門もない〜[竜の島]の更に南に〜援軍は難しいですよ〜」


鶏卵を使った料理、[玉子焼]をテーブルに乗せながラ、デポさんが返答しまス。

今の魔族軍の南方方面軍、司令長官がデポさんなのですガ、今上の魔王陛下の方針からしテ、形骸化した役職でス。


「それが、閣下。内容が……」


「前も注意しましたが~冒険者の店の店主を〜様付けや閣下とは〜普通呼びません〜」


デポさん二、たしなめられたポンコツさんは恐縮していまス。

そしてデポさんとポンコツさんガ、冒険者の店の個室に入ってすぐ二、私にも声ガ、かかりましタ。


「大地母神殿の〜[竜の卵]とレイカルを呼んで下さい〜」


[聖女の弟子]ト、その護衛としテ、今日は朝からデグさんモ茶殻さんモ神殿に出かけていたからでス。


☆☆☆


「スズキナノル、フシンナジンブツテンイセリ、シンギヲトウ、ミズエ」

「ブジデス、ショウユタノシミデス、レイカ」

旧式の通信自動翻訳機に桃色の水晶玉をかけるト、雑音混じりの合成音声が流れましタ。


「ミズエは〜前領主の妹で領主代行です〜レイカさんは鈴木島に〜転移した様です〜醤油味の件は〜私とペティとレイカさんしか知り得ないので〜間違いありません〜」


集まった[竜の卵]を前にデポさんが語りまス。


「『鳥も通わぬ竜哭島』とは遠いっすね。渡れる季節も考えると最短でも3ヶ月はかかる島っすよ。」


「竜哭島?」


茶殻さんの指摘二、デグさんが聞き返しましタ。


「第一次魔王戦争までは鈴木島と呼ばれたっすが、終戦後は竜の島に編入されたっす。後に流刑地になり、主に竜人が流されてた島っす。今では竜哭島と呼ばれてるっす。」

茶殻さんは竜の島側の説明をしまス。


「違いますよ〜今も昔も魔族領で鈴木島が正式名称です〜。リザードマン達が勝手に流刑地にしてました〜。先日の御前会議でレイカさんが〜領主に任命されてます〜」

デポさんは魔族側の説明をしまス。


「昔から魔族とリザードマンが互いに領有権を主張している島でス。特別な価値ある特産品もなク、流刑地としても不便なのデ、利用価値はないのですガ、この大陸の南端に位置する島の為、互いに領有権を主張していまス。」

私が補足をするト、デグさんハ面倒くさい表情を隠し頷きましタ。


ちなみに鈴木島の更に南には大海があリ、その先ににハ、竜が複数住む大陸があると言われいますガ、見た者はいませン。


☆☆☆


「ス、竜哭島には争いがあるのですカ?」

デポさんに尋ねまス。

ポンコツさんの報告ニ、デポさんハ、援軍の話をしていたからでス。


後、私は鈴木島派ですガ、竜の仔にして島の覇者であるリザードマンが鈴木島と呼ぶのは不自然なのデ、間違えない様に気をつけねばなりませン。


「援軍の話を〜聞かれましたか〜やはり店で話すのは〜よくありませんね〜」

デポさんガ、自動翻訳機を片付けながら話まス。


「鈴木島の西部にある〜ゴブリンの集落に〜ダークエルフが流れ着いてから〜ゴブリンの出現率が〜上がったそうです〜」


「そいつは厄介っすね。ダークエルフが居るとゴブリンが内紛しなくなり、増えるっすから。」


デポさんの言葉に茶殻さんは嘆キ、デグさんは眉をひそめましタ。

増えたゴブリンは駆除しないト、環境を荒らして結果他の生物も減りまス。

至高神魔族派の教団にハ、「人間とゴブリンは環境の敵であり害獣である」と教える宗派もあるぐらいでス。


「島に渡れないか?」


「意味ないっす。3ヶ月はかかるっすから。」


デグさんが呟く様に問われましたガ、茶殻さんが否定しまス。

十日もすれバ、冷夏さんなら大魔法の[転移]で戻れるからでス。


「レイカ様が困る島民を見捨て戻ると思うか?」


「思わないっすが、着いた頃には決着はついてるっす。今は冷夏の無事を[大地母神]なり[妖魔神]なりに感謝するっす」


結局、鈴木島にはレイカルさんの無事ト、冷夏さんに自重シ帰還を促す電信を打つ事になりましタ。


私もポンコツさんに設備を借リ、本国に緊急通信をする必要がありそうでス。

「数が多すぎる。環境に配慮するには、数を減らす必要がある。」(魔族の環境活動家)

私は本を閉じた。


「うーん、オーナー、魔族には至高神魔族派の主張を潜在的にも信じている人が多いですよね。」


「差別〜格差〜閉塞感〜信じる背景は様々です〜押し付けない限り〜何を信じても自由ですよ〜レイカル〜この選民思想の主役が〜巨大隕石を落下させようとする戦記は〜ロマンありますよ〜」


「オーナーは何を信じてるんですか?」


「今は[鰯の頭]です〜良い出汁が出そうですから〜」


私の黒歴史がまた1ページ。

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