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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第3章 初仕事

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33/385

蹂躙

リーン視点です。

気分悪くなる描写があります。ご注意ください。


悲鳴が聴こえた。

その聴こえた方に駆けつけると、池の中で1人の黒髪の女性が複数の蛇に襲われていた。

水浴びの最中であったのか女性は裸だった。


「いや!、助けて!、化け物!」

女性の上半身は水面から出ていたが下半身が複数の蛇に絡みつかれ池から上がれない様だ。

(なんだ?絡んでいるのは、ヒュドラの幼体か?)


「魔術師殿、[水上歩行]を頼む。」

それを受け大剣使いに魔術師が呪文をかけ始める。(使1残4)


「頼むぞ大剣使い!」

(声をかけるのに、大剣使いはないな。オルガの言う様に名前を覚えなくては。平民とはいえ仲間なのだから。)


呪文がかかったのか、ようやく大剣使いが女性に近づいてゆく。

すると、突然蛇と触手そして女性が水面に浮かび上がる。


「人間の魔法は呪文唱えるから不便ね。」


悲鳴をやめた女性がさらりと言う。

女性?いや、そう見えたのは上半身のみ。

下半身は複数の蛇と触手。

上半身の肌色も青白く変わる。


魔獣スキュラ。

完全に不意を突かれた。

不用意に近づいた大剣使いは触手に締め上げられ、声も出せない。


オルガは短弓を構えるも誤射恐れ、射れないでいる。

そうしているうちに、何かが折れる音がして大剣使いが脱力した。


「オルガ、射て!、魔術師、呪文を!」


オルガが矢を放つ、魔術師は詠唱を始める。

何本かの矢が、盾に使われた大剣使いの体にあたるが、一本の矢が一匹の蛇の頭を射抜く。


「痛ったい、やったな。私にも矢はあるんだから。」

大剣使いを投げ捨て、魔獣の上半身が、こちらに手を向ける。

光る矢3本の矢がオルガに向かう。


魔族の使う[中魔法]。

詠唱なしのイメージ投射で使う魔法。

魔法矢の一本がオルガの首を射抜く。


「あ、クリティカル。女の子殺しちゃった。勿体無い。」

魔獣は屈託なく笑う。


「……眠りの霧よ」(使1残3)

魔術師の呪文が跳ぶ。

水面が霧で白くなる。


霧が晴れると、スキュラは……いない。

水中からスキュラが出てくる。

長い黒髪から水滴がしたたり落ちる。


「詠唱遅いい〜。それにそんなに大声じゃ、かわせちゃう〜。」

スキュラが、馬鹿にしたように笑いながら言う。


3本の矢が今度は魔術師を襲う。3本とも魔術師の胸に刺さる。

「今度は成功。即死しないけど致命傷。苦しんでね。」


下男はいつの間にか居ない。

魔術師に癒やしの祈りをしなくては!


ムチを打った様な音、背中への激痛。

「ほらほら貴女の相手はこっち、敵に背をむけないのは基本でしょ?」

また触手がしなりあたる。

激痛。


苦痛に耐えて、剣を抜きスキュラに迫る。叫ぶ!

「そんなの振り回して、当たったら危ないでしょ?」

こちらの剣はあたらない。

だが、スキュラの触手はこちらへ当たる。痛い。

やがて剣を絡みとられる。


私の身体にも触手が絡む。

首筋を蛇に噛まれる。

毒牙が刺さる。

痺れ、痛みが拡がる、感覚はあっても、動けない。


「安心して、貴女はすぐには殺さないから、娘を産んでもらわなきゃいけないんだから。」



夜。

「私のお部屋にご案内。」

「きっと娘は金髪ね。」

「私の苗床は黒髪だったもの。」

化け物が高揚し、唄うようにしゃべる。


化け物が、触手が近づいてくる。

体が痺れ動けない。

体さえ動けば、

「しほうひんよ、とくを、いやひたはへ。

いやひたま、いやひ、いや、いや、や、やヘろ、やへて、やへてやへて、いぁ、ぐうあ!!あ!」


「ふふふ、良い娘ね。7日もすれば、お腹が膨らんで、中から娘が出てくるから。」


「喰い破られるまで苗床は死ねないから安心して。」


スキュラは上機嫌に外に出て行った。

気分悪くなった方いたら、ごめんなさい。

スキュラが出てくる小説では[ジェライラの鎧]が優勝だと個人的に思っています。


私の黒歴史がまた1ページ。

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