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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第3章 初仕事

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ゴブリン戦

……視点です。

[至高神の剣]の戦いです。

ゴブリンは数が多い時は強気になります。


ある日俺は奥様に呼ばれた。

王都にあるアンセム伯爵の邸宅で、下男として仕える俺はもちろん奥様と話せる身分ではない。


なので、庭の片隅に控えていた。すると近くを供も連れずに伯爵夫人が通りかかる。


「先妻の子、リーンが旅司祭として修行の旅に出ます。」

「あなたは、それに下男として同行するのです。」

奥様は独り話す。


「そしてリーンは不幸にも事故に合ってしまい帰ってこなくなります。」

「あくまでも事故で帰ってこなくなります。わかりましたね。」

奥様。伯爵の若き後妻は立ち去った。


翌日、俺はリーンお嬢様付きの下男になった。

シーフギルドを通じて前金を渡された。

しばらくお嬢様の冒険者ごっこに付き合うには充分な金額だった。



左を沼、右を池に挟まれた前方からゴブリン達が迫ってくる。

数は12匹だがこの隘路が俺らに味方する。


「お嬢様、突出せずに私と列を合わせてください。」

髭面の傭兵崩れが大剣を振るいながら言う。


短髪の短弓使いが矢をつがえ離れた位置のゴブリンを射る。

お嬢様に返事をする余裕はない。


(意地張らず、前衛は傭兵崩れに任しちまえば良いのに、せっかくの大剣がブン回せてねぇ)


「後、後方からゴブリン4匹くる!」

魔術師がヒステリックに叫ぶ。


(叫ぶ暇あるなら呪文唱えろ青瓢箪!)

「魔術師さま呪文を……」


「そ、そうだね。」

青瓢箪が呪文を唱え始めた。

(詠唱が遅い青瓢箪!)


「……眠りの霧よ!」(使1残5)

後方から来たゴブリンは倒れ、眠り始める。


「お嬢様後ろのゴブリンに止めを……」

「下郎、私に指図するな!」

(叫ぶなよ。ゴブリンが起きちまうだろ。)


とは言いつつも、お嬢様は後退し、眠っているゴブリンに片手半剣を突き立て始めた。


前衛もお嬢様という縛りが外れ、ゴブリンを押し返している。


(やれやれだぜ。)

それから程なくゴブリンは逃げ出し戦いは終了した。



夕方

「昼間はありがとう。君は冷静だね。」


「いえ、そんなことはありません。」


夕食の片付けをしている俺に青瓢箪が話しかけてきた。

(魔術師なんだから早く寝ろよ青瓢箪。)


「僕は、こういう実地的なのは苦手なんだ。」

「でも、魔術学院に入る為に魔術ギルドに奨学金を借りたから……。」


「左様でございますか……。」

(こいつも金か……。)


確か傭兵崩れも金絡みだったな。

短髪短弓いなきゃ、お嬢様を金にかえて死んだことにすれば……。


「……!」

悲鳴がする。

ここから遠くない。

女の悲鳴だ。


「悲鳴が聴こえる!ゆくぞ!」

お嬢様が駆け出してゆく

それを追いみんな駆け出す。


(こんな村から離れたところで?)

ぼんやりと、違和感がよぎった。

[至高神の剣]の戦いは次回に続きます。


私の黒歴史がまた1ページ。

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