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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第16章 西へ

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嘆きの泉 

ルチェ視点でス。

リザードマン訛りデ、読みづらいのはご容赦下さイ

[冷水](使1残58)

デグさんが[竜の卵]の割当として運んできた樽の水ニ、冷夏様が中魔法で冷却魔法をかけていまス。


「冷たい!冷たいです聖女レイカ様!」

「美味いな」

「魔法って便利っすね。生き返るっす」


リリさん、デグさん、チャガラさんがそれぞれ感想を述べましタ。

冷夏様も頷きながら飲まれてまス。

私も貰いましたガ、良く冷えて美味しいでス。


他の冒険者の皆さんヤ、人間の傭兵達は不思議そうな顔をしていまス。

冷夏様が使うのは詠唱なしの中魔法なのデ、知らない人には分からないのでス。


「あの〜聖女様、一杯分けてもらってよろしいですか?」

便乗で旅をしている大地母神の歩き巫女ガ、遠慮がちに申し出てきましタ。


「ん、良いよ。冷えてるよ」

冷夏様が頷きまス。


「あぁ、冷たい。これも聖女様に与えられた恩寵、奇跡のなせる御業なのですね。」

カップの水を飲み干した歩き巫女ガ、恍惚とした表情で述べましタ。

周りがザワめきまス。


「もし、良かったら、もう少し冷やそうか?一回で大樽1つは冷やせるよ」

冷夏様が普通に述べましタ。


「本当かよ。聖女様!頼む。」

「こちらもお願いします。」

その後一刻あまりデ、冷夏様は20樽以上は冷やしましタ。


☆☆☆


「奇跡よ。奇跡だわ」

「奇跡じゃなく、普通に魔術じゃないか?」

「魔術で20樽から冷やせるか?魔力がどんだけ必要だよ、魔族じゃあるまいし。」


[嘆きの泉]から離れながら[白商隊]では冷夏様の噂が語られてまス。

冷夏様御自身は商隊の主馬車に招かれましタ。

奇跡を示した様に見えル、冷夏様の周りに人集りが出来テ、出発が遅れたからでス。


「マズイな。出発が遅くなった。もう日暮れだ。目を引いたかもしれん」

近くの傭兵が呟いてまス。


「どうゆう事ですカ?」

私は尋ねましタ。


商隊の動きとあの泉には不思議がいくつかありまス。

[嘆きの泉]と言う名前。

砂地に水が湧き出ているのに近くに誰も住んで居ないシ、建物さえなイ。

居住には適してなくとモ、夜営には向いた場所であるのに出発シ、良くないとされる夜間の移動をしている事。

何かあるはずでス。


「知らなかったのか?[嘆きの泉]には[永遠の神]に()()された泣き女、バンシーが棲んでいる。太陽が出ている間は存在しないが、夜や砂嵐など悪天候で陽が陰ると現れる。」


「そしてバンシーが泣き叫ぶと、砂地を彷徨う魂が肉体を得て生者に襲い掛かる。夜の泉の周辺は不死者アンデットの巣窟と化す。」


「バンシーの泣き叫ぶ声。それハ、どんな感じの声ですカ?」

私は恐る恐る尋ねましタ。

先程から出てきた風に、微かに泣き声の様な声が混じっていたからでス。


「アタリだよ!リザードマン、糞!ちょうどこんな声だ!」

同じく声に気付いた傭兵が叫びましタ。


「敵襲!アンデット共だ!」

見ると砂地から錆びた武器を構えたスケルトンや干からびたゾンビ達が立ち上がってきていまス。


「なんて数だ!」

「[黒商隊]で駄目な()()を捨ててる辺りだ。恨みなら腐る程買ってる。」


「ルチェ、明かりを。主馬車の近くに行け。」

デグさんガ指示をくれましタ。


[照明弾]×2(使2残4+2)

私は手早く呪文を唱えテ主馬車近くに行きましタ。


☆☆☆


[魔力付与](使1残14)


主馬車の屋根に陣取る冷夏様が弾に魔力を込め妖魔筒から放ちましタ。

念の為、馬は馬車から外されてますガ、馬は逃げませン。

アンデット達も二足歩行の人間やリザードマンを狙って来まス。


「むぅ、きりがない。数は力だよ。マドウ」

冷夏様がいつもの様に1人呟き、弾に再び魔力を込めましタ。


「む、無理。こ、殺されてしまいます。」


リリさんは傭兵や前衛冒険者が作る防衛網を抜けてくるアンデット相手に青白い、細身の片手半剣を振るいまス。

口調に反してリリさんの剣は的確にアンデットを破壊しているのデ、心配は無用そうでス。


「リザードマン!後方に照明弾を上げてくれ!」

傭兵の声がしまス。


[照明弾](使1残1+2)

私は何度目かの照明弾を打ち上げましタ。


「…………ぁ…………ぅ…………」


風に乗リ、バンシーの嘆き悲しむ声が聞こえてきまス。

すると、倒され砂になったアンデットが再び立ち上がって向かってきましタ。

それは恐ろしい光景でス。

スケルトンやゾンビは弱くとモ、決して疲れたりしないのですかラ。


「これ、バンシーを倒さないと終わらないよね?」

冷夏様が屋根の上から尋ねてきましタ。

私が返答に戸惑っているト、

「倒せれバ、明日の夜までハ現れなくなル。ガ、泉のバンシーにはミスリルか銀の武器しか効かなイ。そういう()()を自身にかけているらしイ。」

ケガの治療に運ばれてきたリザードマン傭兵が答えましタ。


「[聖女様]ワイトを減らしてくれるのは助かるが、魔力と弾の無駄だ!治療を頼む。」


「うーん、試しで前に銀玉シルバーブレットは作ったけど、鉛玉より軽すぎて火薬量の計算が上手くいってなかったんだよ。」

冷夏様が屋根かラ、ふわりと降りてきましタ(使1残12)


陽が登るまでまだ三刻はありまス。

長い夜になりそうでス。

私のライフルは弾が特別製だけど、狭間筒の方は玉割(口径)さえ会えば鉛玉でも青銅玉でも銀玉でも撃てるよ。

比重が違うから火薬量が全て変わるけど。

黄金はどうかって?

き…………、セクハラだぞ。


私の黒歴史がまた1ページ。

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