表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第16章 西へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

307/385

壁の花

冷夏視点です。

「聖女様が弟子を取られているなんて」


まわりの、ざわめく声を聞きながらレイカルさんを探す。

うーん、居ないぞ。

乱闘に巻き込まれてたりしないと思うけど……。


(どうしたレイカ?あそこに座ってジンジャー水飲んでるではないか)


ん?


(ほら少し離れた、柱の(かげ)になっているところだ)


居ないぞマドウ。


「少し待ってくださイ」

するとルチェさんが杖を額に押しあて、小声で詠唱する。


[真眼](使1残5+2)


「あちらでス」

やはりマドウが示した柱の方に向かって歩き出す。

茶殻の刀の[雫]もカタリと鳴り、私とデグさんだけがよく分からず付いて行っている。


「お師匠さま」


少し近づくと、突然柱の陰に手を振るレイカルさんが現れた。

あれ?

なんで気がつかなかったんだろう。


「[壁の花]という魔術でス。存在していても認識されなくなりまス。術者が能動的に他者に働きかけると解けまス」


「主に視覚に対する認識阻害なのデ、相手によっては効果ありませン」


うーん、自然(ナチュラル)に魔術使うのはやっぱり魔族だなぁ


(レイカルは魔獣(ドッペルゲンガー)だぞ。しかも神力48、魔力600の戦略級なのだが……)


☆☆☆


「うーん、神聖魔法の祈りって……」


下級神官になったレイカルさんにアドバイスを求められ、食事をしながら簡単な講義を始めた。

レイカルさんって私の記憶コピーしてたから必要なさそうだけど、読み取った記憶はバックアップ扱いらしい。


本来は授業料を払い神殿に通って基礎から学ぶのが1番だけど、私自身ケリー先生とアヤメに学んだ促成栽培だから、レイカルさんには丁度良いかも知れない。

[魔導転写]したテキストを後でプレセントするつもりだ。

この世界、本は買うと馬鹿高いからね。


大地母神殿名物の[寄付野菜のごった煮]と[寄付食材スープ]、[雑多な麦で焼いたパン]を食べながらだが、大地母神殿大食堂の食事は基本セット関係者無料なのが予算のあるハルピアならでは。

通常は大きな神殿でも有料だからね。

安いけど。


「……この場合は[致命傷だけ直せ]と祈るんだよ。直し給えより短いし、緊急だからね……」

私の言葉をレイカルさんは空中にメモしている。

デポさんも空中メモするから、前に尋ねた事あるのだけど、後で魔力を使って見たり固定化したり出来るとの事。


「下級魔族でなければ〜子供でも出来ますよ〜」

と言われたので魔族では一般的らしい。


(魔族の多くは魔力が1()0()()()ない下級魔族だから一般的ではないな)


人間なら魔力10あればギルドから奨学金貰えるらしいぞ、マドウ。



「ぁ、あの聖女様、質問良いですか?」


一段落してジンジャー水を飲むと、いつの間にか、私達のテーブル近くに大勢の神官、下級神官や神官見習いが立っていた。

デグさんは数人の神官戦士とテーブルを守る様にしているし、茶殻とルチェさんはノートを取っている。

質問者は神官の1人、学問所の人だ。


「先程の理論は旧来の物と違いますが、聖女様の見解なのですか?」

うーん、先程のってどこ?


「お師匠さま、ここの所です」

レイカルさんが魔力で文字を浮かべて見せてくれた。


「ん、これはケリー先生の見解だよ。あ。ケリー先生って私が学んだ上級神官の先生だけど……」

私が答えると、質問した神官は驚愕して呟いた。

「ハルピアの神聖魔法理論は遅れている」

しまった、なんかケリー先生に迷惑かけそう。


うーん、ちょっと夢中になり過ぎた。

なんか食堂から出にくいぞ。


「聖女様!次の講義はいつですか?」

「弟子入りの条件はなんですか?」

「啓示を受けられる様に握手して下さい」


「聖女様の講義は終了っす。道を開けるっす。」


その後、上級神官棟に護衛されながら移ったが、神官戦士長代理からは抗議のお手紙を貰い、神官長頭には露骨に溜息をつかれた。

[竜の卵]の、みんなは苦笑だけだったけど。


うーん、みんなゴメン。

イメージは最後の晩餐の感じです。

あくまでイメージですが……。


私の黒歴史がまた1ページ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ