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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第16章 西へ

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新加入

冷夏視点です。

翌日。


「そうですね~3人では少ないので〜最低1名〜出来れば2名は〜加えたいですね~」


階段の踊り場にある、通称[竜の巣]テーブルに座る私達に、店主で魔族のデポさんが語りかける。

デグさんは黙って頷く。

ブレナさんが引退したから、デグさんは[竜の卵]3代目リーダーになった。


「その場合は〜魔術師と盗賊〜もしくは魔術師と戦士ですね~チャガラさんが剣士と盗賊〜どちらを主軸にするかですけど〜補う専門職がいた方が良いですね〜」


デポさんが冒険者の店の店主らしさを見せている。

以前私とアヤメとデグさんの3名だった時は治安維持依頼を斡旋されたから、[竜の卵]も少しは成長したのだろう。


「シーフギルドの方はあっしが対応するっす。だから戦士と魔術師が良いっす」


「ああ、そうだな。」

茶殻の返事を聞いて、デグさんは呟いた。


「なら、あのリザードマンは決まりじゃないっすか?魔術師っすよね?」

茶殻の言葉にデポさんは反論する。


「ルチェさんは〜ギルド出の魔術師ではなく〜私塾出の魔術士です〜魔術師ギルドからも〜[竜の卵]宛に〜推薦状が何通か来てます〜」

そう言ってデポさんは封筒に入った書状3通を空中から取り出した。

だがデグさんは一瞥いちべつもせずに告げる。


「一刀からの推薦だ、あの男にする。」


「ルチェさんは〜女性ですよ〜デグ君は〜美人ばかり集めて〜お祖父さんのマネですか〜お姉さんは感心しません〜」


店主モードから、素に戻ったデポさんの指摘にデグさんは苦笑する。

聞いた話では、デグさんの祖父は先代の勇者で、女性騎士、女性魔術師、至高神の聖女が仲間だったらしい。

そして、子供が沢山いる。


(あちこち手を出した結果少なくとも50人以上いるからな)


[竜の卵]に欲しいのは魔術が使える仲間であって、男女は関係ないし、魔術師ギルドの代理人は要らない。

正しい判断だと、私も思う。

でも、いつの間にかデグさんリーダーっぽい感じになったなぁ。


(レイカが成長してないだけだ。)

うるさいぞ、マドウ。


☆☆☆


「ルチェさん。こっち来て。」

私がカウンターに座っていたルチェさんを呼ぶと、尻尾を振りながら階段を上がってくる。


「ルチェも仲間になるっすから、話し合いに加わるっす」

茶殻さんが椅子を引きながら話しかけた。


「でハ、[竜の卵]仲間にしてくださるのですカ?」


「ああ、自己紹介は後だ。」

デグさんが呟く。


ルチェさんが席につくと、デポさんが魔術で空中からカップを取出しポットに入っているお茶を注ぐ。

さすが魔族、先程から贅沢な魔法の使い方だ。


(レイカの魔力も60ある。似た事は出来るぞ)


マドウ由来の魔術じゃ、ポットを吹き飛ばすのが関の山でしょ。

加減出来ないんだから。


(心外だぞ、レイカ)


「後は戦士っすね。」

茶殻が店内を見渡す。

一階の多くの冒険者がこちらを見ている。

以前は昼食前とかは誰もお客さん、居なかったりしたから、雰囲気は変わってきたかなぁ。


「普通に〜金貨を稼げる〜[竜の卵]に加入したい冒険者は〜多いですよ〜」

候補者の書かれた紙をデポさんが、また空中から取り出すがデグさんが首を振る。


「今日はルチェだけで充分だ。料理を頼む」

どうやら、今日はここまでにする様だ。

確かに午後からは神殿に行かねばならない。


「ペティ〜カツレツは出来上がってますか〜?」


「カツレツってなんすか?」

茶殻が不思議そうに尋ねる。


「竜人の祖が伝えた高級料理でス。竜の島以外で食べられるとは知りませんでしタ」


「そうですよ〜。今日の肉は仔牛ですよ〜」


今日の特別ランチはカツレツらしい。

店に美味しそうな香りがして、食欲が刺激される。

お昼に銅貨10枚もするランチを食べられるのは贅沢だ。

治安維持依頼の日当が銅貨20枚だったからね。


「リザードマンは肉食なのか?」


「いエ、人間と同じく雑食でス。」


「人間との違いは卵生ト、尻尾ト、左利きが多い事などでス」

ルチェさんとデグさんは普通に話はじめている。


「左利きが多いってどうゆう事?」

私もルチェさんに色々尋ねる事にした。

リザードマンは左利き。

昔の何かの設定を踏襲しました。

ドルアーガのゲームか何かだったかな?


人間は左利きは10%ぐらいと言われています。

人間が右利き多い理由は胎児の向きに関係するとかエビデンス不明な情報もありますが、現代社会はハサミから駅の改札まで社会は右利きに設定されてますよね。


私の黒歴史がまた1ページ。

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