聖女さま
兄 ジグ
弟 デグ
この世界は平民は基本名前だけです。
その時、大地母神の泉に祈りを捧げていた。
亡くなった祖父が建てた大地母神像が泉の側に佇んでいる。
兄者と自分は近日、冒険者となって旅に出る予定だ。
兄者が言うには、叔父に村を追い出されるらしいのだが、自分には良く分からない。
肩身の狭い村にいるよりは気分が良いと思うのだが、兄者は村に未練があるらしい。
冒険者になる不安は、これと言ってない。
考える事は苦手だが、兄者が居てくれれば替わりに考えてくれる。
これからの旅の無事を願って祈る。
ふと顔を上げると泉の上が光った。
何事だろうと見ていると1人の女の子が光より現れ、水音高く泉に落ちる。
驚いた。
驚いて、大声で兄者を呼ぶ。
ジグ兄者が駆けつけてくれた時には、溺れていた女の子を泉から引き上げてはいたが、どうすれば良いのか分からずにいた。
考えるのは兄者に任せよう。
助けた女の子は奇妙な薄着を纏っていた。
肩をこえるぐらいの長さの茶色かかった黒髪をしていて、華奢で、触れると、柔らかだった。
息はしているが、気を失っている。
右手には小さな黒い板の様な物を握りしめていて、腕には文字の書いてある薄い腕輪をはめている。
「鈴木冷夏」
自分は文字が読めないので何が書いてあるかわからない。
ただ共通語ではないみたいだ。
大地母神が遣わした聖女さまだろうか?
兄者の指示通り、猟師小屋に運び、簡易暖炉の火を焚いて女の子を温める事にした。
濡れた薄い奇妙な着物を脱がせると胸は薄く、肌は真っ白だった。
美しい。
聖女さまだ。
聖女様に違いない。
大地母神が旅に出る我々に遣わしてくださったのだ。
女の子を小屋にあった布で、そっと包んだ。
穏やかな寝息をたてている。
〘冷夏を頼みますよ。デグ〙
どこからか、女性の声が聞こえた様な気がした。
これで登場人物が一度づつ登場しました。
少しづつ話スタートさせないといけませんね。
私の黒歴史がまた1ページ。