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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第15章 王位と聖女

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即位式

ブレナ視点です。

王都を望む丘の上の草原に私達[竜の卵]は立っていた。

王都中の鐘が鳴っている。

時間的には新王の即位式が王城で行われている最中だ。

しばらくすればサーシャ女王の即位として発表されるのだろう。

多少の混乱も宰相と国王代行が抑え込むはずだ。


「宰相からの報酬は私の口座に振り込まれていましたよ。」


私が話すとチャガラさんが傭兵隊に報酬を支払った報告をした。

伯爵振り出しの金貨200枚の小切手を渡したらしい。

冷夏さんによる無償の治療で死者の出なかった傭兵達は[聖女冷夏]の崇拝者となった者も多かった。


「そういや、どうやって伯爵と話をつけたんだ?」

チャシブが尋ねるとチャガラさんは笑った。


「簡単っすよ。即位前にサードがサーシャだって宰相に話したら困るっすよね?って訊いただけっす。」

タウアー王子が生きていて、王孫が女の子では貴族達の様相がまるで違くなる。

だが、伯爵が我々を処分する可能性もあったハイリスクな選択だ。


「お前なぁ!」

チャシブが案の定怒る。


「でも、リキタ伯爵は太っ腹っすよ。トータル金貨1000枚までは自由に記入して良いそうっす。金貨700枚の報酬っすよ」


今回の依頼で[竜の卵]は莫大な報酬を得た。

一度落ち着いて今後を考えたいところだ。

確かハルピアでも大司教から報酬が貰えるはず。

意には沿わずとも、新王は立ったのだから。


「リキタ伯爵領にある魔術師ギルドで報酬を山分けするね。お別れするロバートさんの領土までは一緒に行こうよ。」

冷夏さんがそう告げる。


そう、私はチャシブを妻に迎えロバート卿のお抱え魔術師になる。

私達夫婦は冒険者は引退する。

夫婦それぞれ金貨200枚から持って引退出来るのだから恵まれているのだろう。


「そうだ、茶殻。こいつをハルピアのシーフギルドに返しておいてくれ、シーフからも足を洗う。」

銀の印台指輪をチャシブが茶殻さんに渡す。

チャシブの指には私が送った細身の金の指輪が嵌っている。


「いいっすよ。かわりにプロポーズの様子を教えてほしいっす」


「それは私も聞きたいなぁ。」


「な、ちょ、俺に聞くな!」

女性陣が愉しげに騒ぎ始めた。


「デグは旅を続けるのですよね。」

少し離れたデグさんに話かける。


「ああ。冷夏の旅に付き従い、叶うなら復讐を果たす。」


「行こう。追手がかかっては面倒だ」

新リーダーのデグさんが声をかける。

私達は丘を下り歩き始めた。

ブレナと茶渋がアヤメに続いて寿引退(死語)です。

大金や勤め先ができたら冒険者は辞めるのが一般的です。

2人を祝福の方はいいねを押して下さい(笑)

爆発しろ!の方もどうぞ。


私の黒歴史がまた1ページ。

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