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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第15章 王位と聖女

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狂乱聖女

チャシブ視点です。

魔術師ブレナ殿、何か策は?」

リキタ伯がブレナに話かける。


貴族に護衛に神官や従者、30人以上の人間を斬り伏せて[狂乱聖女]は建物から彷徨い出た。

そして、なお健在で、[知識と学問の神]の神殿内を彷徨い歩いている。


アンセム伯を初めとする生き残った貴族共は疾く逃げ去り、残っている貴族は宰相とリキタ伯のみ。

もちろん宰相と伯爵の部下達は逃げる様に勧めているが、宰相は義務感が、リキタ伯は責任感が強いらしい。


「通常なら、とっくに燃え尽きるか、神力を使い果たして再生出来なくなり死亡するのですが……」

ブレナが困惑気味に返答する。


見た感じ[狂乱聖女]は燃え尽きず、更に取り出した茸を噛り神力を回復している為、死ぬ様子もない。

何が楽しいのか笑いながら、フラついている。


寄らば斬るを続けているので、今のところ近づかない限り大丈夫だが、神殿から王都に彷徨い出たら大変な事になる。


神殿関係者も、あらかた逃げ出しているが、挑んだ神官戦士達は全て斬られた。


彷徨える狂戦士。

恐ろしい化物だ。


「魔術で焼き尽くすのはどうですか?」

聖女の姿をしたグレーテが提案してきたがブレナは首を振る。


「狂戦士に魔術は効きにくいのです。神力が関係しているようなのですが。」


「うーん、大火力で焼くのは現実的ではないね。やっぱり削りきるしか方法なさそうだよ」

虚空を見つめていた冷夏が改めて言う。

俺は冷夏まで狂戦士化したらと思うとゾッとした。


「あ、冷夏はその、大丈夫なんだよな?」

俺が問うと冷夏は笑った。


「酷いな。私は薬物なんて、やってないよ」


「じゃあ、どうして神力が48もあるんだ?」

肝を据えて正面から尋ねた。


宰相と、その取り巻きがドン引きし少し下がった。

グレーテはじっと冷夏を見つめて何かを探っている。

平均的神官の8倍の神力。

もし暴走すれば、俺等が相対している神力17の化物の2倍以上の化物だ。


「スマホ。凄い魔導具のおかげだよ。」

さらっと冷夏は答えた。


「使うにはコツがいるから、たまにボーっとしているみたいに見える見たいだけど、全然平気。魔導具が凄いだけだから私は[聖女]でも何でもないんだよ。」

俺はグレーテを盗み見る。

グレーテは誇張はあるが嘘ではないとのハンドサインをした。


「この場は[竜の卵]で対応をお願いしたい。もちろん国費から報酬は支払う。」


宰相が切り出し、ブレナは了承した。

変に騎士、兵士に任せると死体が増えるだけ。

犠牲を厭わない人海戦術は最終手段にしたいのだろう。


「宰相様と伯爵様はお逃げ下さい。最終手段への備えとアンセム伯爵の動きが心配です。」

ブレナが落ち着いて話す。

こうして見るとやはり正魔術師。

貴族などとも普通に話せるし、相手の貴族も平民への対応ではない。


「化物はともかく、アンセム伯と聖神教団の動きは気になる。グレーテ、お前は残り何かあれば報告を。」

伯爵は、そう言い残し、宰相も王城ヘ取って返した。


「グレーテ、災難だったな」

俺が声をかけると、元々残る気だったらしい。


「偽物は成敗、成敗。何処にいますか?[かくれんぼ]のつもりですか?」

化物の声が聞こえる。


「あの化物は、どうやら私を探しています。私が逃げれば王都に彷徨い出るでしょう。」

マジかよ。


「あの広場に誘い込みます。レイカはあの鐘楼に。」

デグと茶殻が前衛、俺がブレナを守り中央、グレーテが餌として後方、そして冷夏は狙撃と配置が決まった。


「18回殺せば、終わりっすよ」

本人に自覚はないだろうが、茶殻は相変わらず言わなくても良い事を言う。


「偽物はどこですか?」


「こっちだ化物!」

グレーテが叫び作戦が始まった。


狂乱聖女の血と脂で濡れた剣が、てらりと光った。

狂乱聖女のイメージは乱射事件を起こした犯人ですね。

銃の変わりに魔剣を持ち歩いてます。


私の黒歴史がまた1ページ。

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