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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第15章 王位と聖女

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馬鹿な奴だ

ファンテ視点です。

前回に引き続き時間前後してます。


時間通りに店を訪ねて、木札を見せて小部屋に入ると、そこには既に3人の人影がいた。


強面こわもての商人っぽい男が1名。

ダークエルフの男が1名。

フードを目深に被り、薄っすらと香の匂いをさせた依頼人らしき奴が1名。


フード付きは、正体を隠しているつもりらしいが、香の匂いから至高神の関係者だとわかる。

そして、こいつの依頼が碌でも無いものだと言った事も。


「待たせたな。」


俺が挨拶をすると商人風の男がいう。


「エールはセルフじゃ。ただ裏店の小便とは違いおる。本物じゃ。」

そうして小さな樽とジョッキを渡して寄越す。


罠だとしても、潰れかけの傭兵隊長を騙しても得るものなどない。

俺はエールを注ぎ勢いよく煽った。

確かに真っ当なエールは違う。


「酒を飲ませる為に集めた訳ではありません」

フードを被ったの女が苛ついた声を出す。


「わーとるよ、姉ちゃん。仕事じゃろ?しかもヤバいやつじゃ。」

商人らしき男は笑う。


「話を聞かせて貰おうか。金の話はそれからだ。」

俺が促すと女は直ぐに話を始めた。


馬鹿な奴だ。

育ちが良い奴に多いのだが、断られる想定をしていない。

俺に断る余裕は確かに無いが、自分の言う事が必ず通ると思い込んでいる。


依頼人がこちらを吟味する時、こちらも依頼人を吟味しているのがわかっていない。


☆☆☆


フード女がの依頼内容は簡単に言うと暗殺依頼だった。

しかも、相手はリキタ伯爵一行。

ジナリー王の後継争いで、きな臭くなっているので、同業者が集まり始めているのは知っていた。


俺も、そのつもりで流れて来ていたが、資金繰りに詰まって商隊を襲おうとした判断が誤りだった。

おのぼりで数を揃えて対ゴブリンしか考えてない隙を突いたはずだったのだが……。


「いくつか質問がある。伯爵一行となれば下級騎士に正規兵で少なくとも、100近くはいるはずだ。こちらの数は?俺の所は訳あって兵が品薄でね。」

俺の隊は俺含め4人。

情報が古く声をかけられたなら降りるしかない。


「そいつはワイの仕事じゃ、[狂人茸]の旦那。冒険者崩れだが30は集めよるき。後、依頼人の直属が10ちょい、ダークエルフの狙撃手が3、旦那の所で3。そんな所じゃろ。」


思っていたより少ない。

しかし、それ以上に、この商人は?

口調も方言も、めちゃくちゃなのが、いかにも、わざとらしいが……。


「そういや自己紹介が、まだじゃったな。ワイは傭兵斡旋業[臆病者]のヴラド。ワイは兵士の募集、育成、斡旋が仕事じゃ。実戦には出んからに現場はお任せじゃ。」


「私は傭兵隊[憂国団]のフラワー。ダークエルフは部族名のウルガとだけ名乗ってるわ。」

フード付きまで名乗って寄越した。

やはり馬鹿だ。

お前みたいな傭兵がいるか。


「[狂人茸]のファンテだ。で、数では話にならねぇ。何か策でもあるのか?」

無いなら降りるだけ、何なら、ひと暴れしてマンティコア卿に駆け込んでもいい。


「もちろんあるわ。」

フラワーとやらが紙を広げる。

どうやら地図、しかも珍しい鳥瞰図の様だ。

内容も走り書きなどではなく細かい。

地図はある程度機密に属するし、神殿か貴族でも無ければ使う機会はない。写すにしろコネや金がかかる。


やはり、こいつは至高神の司祭で貴族だろう。

裏仕事に成功すれば教団で出世約束されると聞いた。

不慣れなのは御愛嬌、金払いさえ良ければ与し易い分助かる。

作戦説明している女だけが正体が丸出しなのに気づいていない。


商人はニヤニヤし、ダークエルフは逆に無表情の中に軽蔑を込めている。

作戦は単純な待ち伏せだ。

待ち伏せポイントで、正面からかかる俺らが足止め。

女の兵が馬車を直接襲撃しターゲットを燻り出す。

そして側面から狙撃するのが、ダークエルフ。


「この図だと岩場から街道まで射線は通るが300メートル近くある。バリスタでも使うのか?」

バリスタは威力は高いが、狙いは大雑把。

馬車ぐらいの目標でも、狙って当てるのは難しいだろう。


「[狭間筒を用意してある。精密に射撃出来る。]」

「ダークエルフが長射程の妖魔筒を用意してあるそうよ」


女が通訳してダークエルフと話している。

「精密に射撃出来ると自信を見せているわ」

さて、どうだろうか。


「優先順位は王孫、伯爵、聖女。私の隊が馬車に襲撃をかけるわ。ターゲットの最低1人、出来れば2人殺せれば成功よ。」


「経費はそれぞれ金貨20枚先払い。報酬は金貨30枚、成功なら倍支払うわ」

女が金貨40枚を出し、20枚づつに分けた。

ダークエルフには魔術師ギルドの振り込み証明を渡している。

更に[憂国団]振り出しの魔術師ギルドの約束手形を2枚渡される。

それぞれ金貨30枚づつだが日付が違う。


「まだ当座に資金は入ってないわ。入金は襲撃予定日過ぎてからよ。」


魔術師ギルドの口座は秘密性が高いが一般人には開けない。

ある程度以上の入金をした商店や商会、宗教の宗派、ギルドなど奴らが法人と呼ぶ団体でないと無理だ。

個人口座を持てるのは高位貴族などの僅かな例外に過ぎない。

ここまで、あからさまだと勘繰りたくもなるが……。


「これフラワーさん、亡うなっても有効なんじゃろうな?」

商人が女に念を押す。


「片方はね。成功報酬の方は私が死んでいたら、ただの紙になるわ」


「それは大変じゃ」

商人は苦笑している。


「俺の隊を選んだ理由は?もう少しマシな傭兵隊もあっただろう?」


「これが理由よ。」

[狂戦士の茸]を女が渡して寄越した。


「特異体質なのでしょ?奮戦を期待しているわ」


俺は受け取ったが、気をつけないと実験材料にされそうだ。

自分の言う事は何でも通ると言う態度の奴は実在します。

で、変に金や権力を持っていると厄介この上ないです。



2023/12/24

一神教教徒ではないので、メリークリスマスとは言いません(笑)

友人は「クリスマスと言えば0080だろう」と言っています。

クリスマス要素があったかな?

記憶違いで無ければ、最後ハッピーニューイヤーで終わった気が(笑)


私の黒歴史がまた1ページ。

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