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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第15章 王位と聖女

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香茶と生活

冷夏視点です。

「美味しい」

思わず私は呟いた。

落ち着こうと手を伸ばした香茶に驚かされるとは思ってなかった。

香りは、いまひとつだけど味は抜群。

私みたいな素人でも、美味しいと感じる香茶だ。


「ロカが安い茶葉をブレンドして、美味しく淹れてくれるのです」


「でも、先生。香茶は味ではなく香りを楽しむ物と聞いてます」

ロカさんの説明にケリー先生が笑った。


「良い香りよりも、美味しい方が実務的です。」

私も頷く。

味ではなく香りを楽しむ程、私は風流じゃない。


至高神程ではないが、大地母神殿も上級神官の大半は貴族階級が占めていて、手当ての大きい薬師の長や司書長などの役付きは高級貴族の子女が勤める事が多い。


そして役付きでない上級神官の手当ては安い。

上級神官は基本料金が上がる為、滅多に外来で神聖魔法は使わない。

神聖魔法を実務で使う機会の多い平神官、下級神官の方が、歩合で現金収入が多いぐらいだ。



実家が太い上級神官は問題ないが、先生は平民の出。

実務的になるのは、もっともな話だと思う。


「そういえば先生、ロカさんはいつから弟子に?」


「つい先日です。ある貴重な資料を届けてくれたのですが、行く宛がないそうなので弟子にしました。それにロカはムゲットの孫弟子にあたります。」

うーん。マドウが言う作為ではなく、偶然に思える。

まぁ神様の作為なんて、人から見れば、偶然にしか見えないはずだけどね。


「ロカは薬師の実務は積んでますし、知識さえ整えば大地母神の薬師資格は直ぐに取れそうです。」


「お茶のブレンドも薬師修行の一貫ですか?」


アヤメも大地母神の薬師資格取っていたし、薬草の採取と調合は旅の途中でもやっていた。

私は知識はマドウカンニング出来るけど、実務はサッパリだからね。


「いえ、安い茶葉を買って高く売るのは生活の為にやっていました。」

物を学ぶには生活にすること。

前世の看護師さんが言ってたな。

私も普段から暇を見ては火薬の調合はしてるけど……。

うーん、冒険者らしいけど、物騒かなぁ?



☆☆☆



「先生、先程さらっと他の聖女の精神が破綻するって言ってたけど、どういう意味ですか?」

香茶を飲んで落ち着いた私は改めて質問する。


「通常の生き物の神力が10を超えないとは知ってますよね?レイカ」


「はい、それこそ先生から習いました。」


「では、もし10を超えるとどうなるかわかりますか?」


「うーん、確か13を超えると心身に障害が出ると聞いてます。」

ケリー先生は微笑み、ロカさんは驚愕している。

ん?変な事言ったかな?


魔力においては人間を凌駕する魔族も神力に於いては0から10の範囲に収まる。

これはエルフでも、ゴブリンでも変わらず、先日マドウから聞いた話では13を超えると心身に障害が現れるとの事だったけど……。


あ、そうか。


「神力が心身にどの様な影響を与えるかは各神々の神殿や魔術師ギルド、魔族が密かに研究しています。」


「そして結果を知っているのは、ほんの一握りの研究者のみ。レイカが誰から具体的数値を聞いたかは尋ねません。」

うーん、やってしまった。


「ただ、私が知る数値も概ね同じ数値です。」

知ってるのか……ケリー先生もヤバい人だった。

まぁ、先生は倫理感あるから大丈夫とは思うけど。


「そして今までの研究で、狂戦士化するキノコから作成する薬物により、一時的に神力を増加させる方法も非公式には判明しています。」

でも、それって……。


「しかし、そんな薬物を長期間使用すれば、いずれ理性を無くし狂戦士化します。未だ完成された技術ではないのです。」

やっぱりそうなんだ。


「ですから、底上げ聖女を救うにはレイカの力が必要なのです」

む、むぅ。


「あの……レイカ様は薬物の服用はないですよね?神力は幾つですか?」

ロカさんが遠慮がちに尋ねてくる。

言葉の真実が分かるロカさんとケリー先生、質問するなら良いコンビだ。


(尋問に近いな、言葉は選べ、レイカ)


「薬物なんて使ってないよ。神力は今、48だけど。」


先生にも話せないが、マドウ曰く神力が15を超えると、ごく一部の例外を除き、心身共に狂戦士化して戻れなくなる。

13〜15なら一時的に不安定にはなるが、不可逆的ではない。


じゃあ48ある私は何?ってなるが魔導書との契約者は副作用で見た目上は魔力、神力が増えるが元の能力が増えている訳ではないらしい。


「「48!」」


師弟で綺麗にシンクロした。

私の神力8が契約深度6で48。


「先生、ウソはありません。」


「レイカ……本当に大丈夫なのですか?」


「だ、大丈夫です。狂戦士化してないから。」


うーん、私が笑顔で誤魔化すも、2人とも流石にドン引きしている。

でも、本当に大丈夫かは分からない。


マドウとの契約深度が増えれば、まだ増える。

契約深度は最大10でマドウが言うには、使い込んだ道具が自身の一部に感じられる様なものだから心配ないと言う。


本当に心配ないかどうか?

私は、ちょっぴり疑ってる。

(冷夏は変な所だけ疑い深いな)


その後、2人と狂戦士のキノコや薬草の話をして過ごした。


ある日の会話より

「健康診断どうだった?」

「いや〜内臓機能の数値悪かったよ。再検査だ」

「大丈夫なのか?」

「死んでないから大丈夫だろ」


物語の小ネタは色々です(笑)


私の黒歴史がまた1ページ。

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