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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第15章 王位と聖女

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多様性

雫≒チャガラ視点


(雫は物知りっすね~。死は男女の差がなく訪れるから、あっしには関係ないっすけどね。)


(闇に帰れば皆同じか?不死者に近い憑依体としては同意しかねるなチャガラよ。)

国境のノウル伯爵領を出て、リキタ伯爵領に着くまではこれと言って何事もなかった。


この街道には時偶(ときたま)グリフォンが出るらしいが、その場合でも無理せず馬の2〜3頭でも残して森に逃げれば、食欲を満たして去ってゆく。


少し前に冒険者数組で待ち伏せて、討伐を試みたが見破られ、多大な犠牲を出したと付近の村で聞いた。

超低空で高速接近され、なすすべがなかったらしい。


そんな事もあり移動中

「この辺りで前に一度グリフォン見たけど、綺麗な生き物だったよ。」

と、冷夏がさらっと述べたら、護衛の新米冒険者達が2〜3日上空を気にしていた。



リキタ伯爵の領都に入ると、私達は商隊との契約を終え報酬を受け取り、冒険者の店に向かった。

日に1人銀貨2枚の報酬。

通常パーティが日給銅貨10枚だから6倍。

冷夏の価値からすると、それでも格安らしい。

数日後には伯爵が王都から戻るとの事で、そうなれば城に招かれるだろう。

それまではちょっとした休暇だ。



[まわる水車亭]に入ると栗色髪のハーフエルフが出迎えてくれた。

私以外は面識あるらしく、席に着くと黙ってエール(冷夏にはジンジャー水)が出てくる。

どうやら馴染みの冒険者が帰ったら、1杯奢るのが商習慣としてあるらしい。


「[竜の卵]で変わりはないんだろう?リーダーは誰に変わったんだ?」

しゃがれ声のドワーフが遠慮がちに尋ねてきた。


「ん、ブレナだよ。それにアヤメは結婚して引退したんだ。」

冷夏がそれに答える。


「なんだよ。まぁ美人だったし、人狼斬りが簡単にゃ、くたばらねえか。」

ドワーフが笑う。

冒険者の幾人かが前のメンバーと違って戻る理由は推して知るべしなので、寿引退は珍しいのだろう。


「あっしは、火蜥蜴のチャガラっす。よろしくっす。」


「またリザードマン刀持ちが後釜か。腕はたつのか?」


「自分なんかより、余程強い。飯を頼む」

デグが呟くと、ハーフエルフが慌ててメニューを持ってきた。



「ドワーフ料理は上手いっすね~」

ハルピアの[魅惑の伯爵夫人]程ではないが、安価で量があり旨い。

デグは無言でメニューを指して追加を頼んでいる。


「飯が旨いのも、生きて帰る理由になるからな。冒険者の店は飯が旨くなきゃならん。」

主人のドワーフが言う。

裏の厨房で鍋を振るうのは、この主人の妻との事だ。


ドワーフは男は外で働き、女は中で働くという文化なので、ドワーフ女性は裏方として働いている事が多い。

ドワーフ女性は表舞台に出ないのが美徳とされている。


ドワーフと言えば優れた工芸品が思い浮かぶが、実は繊細な工芸品などはドワーフ女性の制作品も多い。

[ドワーフ男が銀を掘り、ドワーフ女が銀細工を作る]そんな言われ方もする。


ただ、実力主義で男女共に働き方に差がない文化のエルフとは、相容れないとされ、エルフからは批判の対象となっている。

逆にドワーフは女を保護せず戦場に立たせるなどエルフは頭がおかしいと批判しているが。


戦いとなれば、男女関係なく弓を取るエルフと、男だけが斧を取るドワーフ。

繁殖力による人口差がそういう文化をもたらしたのだから優劣はつけがたい。


価値観の違いから互いの文化を批判し合う両種族を[エルフの傲慢、ドワーフの狭量]と、かつて初代勇者はそう評したそうだ。


初代勇者と同じ転生者の聖女(レイカ)はどう考えるのだろうか?

今度訊いて見ようと思った。

聖王国は建国にエルフが関与した伝説からエルフ寄りの価値観です。

ですから、必要なら男女問わず兵として戦場に送りこまれます……。


私の黒歴史がまた1ページ。

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