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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第15章 王位と聖女

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嫌な予感

冷夏視点です。


「デポさん。戻ったよ~」


「あら〜。レイカさん〜。ジンジャー水とエール奢らせてね〜。」

エプロンをしたデポさんに声をかけると、前と変わらない返事がくる。


階段の踊り場にある席、通称[竜の巣]に座ると仲間にはエール、私にはジンジャー水が運ばれて来た。

運んできたレイカルさんは相変わらず色気が滲み出ている。

うーん、私の分身(ドッペル)とは思えない。


「そちらの雫さんが〜引退したアヤメさんの〜代わりですか〜」

デポさんが声をかけてくる。


「雫ではなく茶殻だよ。雫は刀の銘だよデポさん。」

デポさんの耳は早いが、それでも完璧ではないみたいだ。

茶殻の刀が、わずかに鍔鳴りをした。


「聖女熱は収まってるみたいだな。」

茶渋がエールに口をつけながら言うと、デポさんは笑う。


「人間の関心は〜短い間に移りゆきます〜今はランドルト城塞の〜失陥が関心事です〜」

むぅ、何の事かさっぱり分からない。


デポさんに正直に分からないと言うと、

「失陥は〜人間サイドの見解で〜魔族サイドからすると〜奪還です〜」

と説明をしてくれた。


そのお城は第一次魔王戦争の頃に築城されたランドルト平原の東端にある平城で、人間からも魔族からも、相手を抑える要の城とされてきたらしい。


先の第二次魔王戦争で人間サイドに渡ってからは聖神教団が管理していたとの事だが、新しく編成された魔王軍東方軍団により先日落城。

魔王サイドの城になったとの事だ。


「新東方軍団長の〜陛下の従姉妹のアイカ様も〜戦上手の様です〜。」


「でも、魔族と人間が戦争すると、デポさんも風当たり強くならない?」


「冷夏さんはやさしいですね~大丈夫ですよ〜ここハルピアは形式上魔族の領土〜遠くの戦争は商人の商機(チャンス)〜」

そうだった。

つい忘れがちだけど、ここハルピアは商都とも魔都とも言われる都でデポさんは形式上の領主だった。


「そうっすよ。デポトワールといえば、泣く子も黙る古強者っすよ。」


「古くはありません〜ほんの〜ほんの少し〜お姉さんなだけです〜」

うーん、それは無理あるかな?

デポさん。



久しぶりに美味しい料理を堪能した。

ちなみに料理は天婦羅。

この世界ではリザードマン料理らしいけど、デポさんて凄いよ。


その後竜の巣で今後の方針を話し合った。

リキタ伯爵領の大地母神殿にケリー先生を訪ねて手紙を渡す以外に、ついで仕事を受けた方が良いからだけど……。


「出発するにしても、2〜3日情報を集めた方が良いと思いますよ。」

ブレナさんが冷静に言う。


「確かにな。ジナリー王の後継争い、ランドルト城塞を巡る紛争、キナ臭い動きばかり聞こえてくる。俺が情報集めるまで出発は待って欲しい。」

茶渋がブレナさんの言葉を補足。

うーん、やっぱりラブラブだ。

息ぴったりだぞ。


「そういう事なら、自分は少し出かける。」

デグさんが席を立った。


「女っすか?」

茶殻が声をかけるが、デグさんは片手を上げただけで返事をせずに店を出てゆく。


すると入れ違いに至高神の超豪華な司祭服を着た人が店に入ってきた。

酷く慌てている。


「いらっしゃいませ〜新大司教さま〜お一人ですか?〜」

うーん、私を聖女に推薦するとか言ってた至高神聖神派の人だ。

デポさんの挨拶に護衛が後から来ると答えながら、こちらに向かって来る。


「それって護衛意味ないっすよね?」

茶殻さんは正直に話す人だけど、偉い人と話す時は不安になる。


(冷夏も似たようなものだろ?)

何か言った?マドウ。


「おかえりなさいませ聖女様。茶渋様も、ご機嫌麗しく。実は折り入ってお願いがございます。」

むぅ、嫌な予感しかしないぞ……。

私の黒歴史がまた1ページ。

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