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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第2章 出発

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砦跡

ジグ視点です。

雨風強いときに無理に動くと遭難しやすいといいます。

濡れると、体調も崩しやすくなりますし、旅人には悪い天気です。

領都まであとわずか、明日の夕方、街の門が閉まる前までにはつけるだろう。


ただ、昨日から雨が降ったり止んだりで、今も雨がいつ降り出してもおかしくない様子だった。


「雨の中歩くほど、急ぐ用事はないだろうミケ?」

ロバートさんが確認する。


ミケさんが頷く。


「なら決まりだ、砦跡に行こう。あそこなら多少なりとも過ごしやすい。」


街道から少し外れるが、領都が出来る前の砦跡が近くにあった。


地元を旅する住人なら知っている場所で、森に囲まれた小さな丘になっていて、水捌けが良い。


やがて再び、雨が降り始め、砦跡につく頃には本降りの雨になった。



「少し、妙だ。」

あたりをぐるっと見てまわった後にロバートさんが話す。


「あちらに張ったテントがそのままになっていた。」

「先客がいるかと思って、声を出しながら近づいたが、誰もいない。」


雨が酷くなってきていた。

あたりが白く見える。


「テント近くに争った跡はない。多分、森に水を汲みにいき、なにかあったのだろう。」


「この雨の中での移動は反対。」

ミケさんが話す。

「あたりが見えるここの方が戦いやすい。」


「だが、荷物の数からして4人行方不明だぞ?」

それを無力化したなら、相手はそれなりの戦力なはずだ。

ロバートさんの懸念もわかる。


「だったら尚更、森で待ち伏せされたら、一網打尽。」

話し合いのすえ、夜になる前に雨が止んだら、移動する事にした。

しかし、日がくれる迄に雨は止まず、かえって酷くなる気配までする。


結局、破棄してもいい様に、張ってあった何者かのテントで野営をする事になった。



夜。

ミケさんと、レイカさんの魔法組は寝かせている。


男3人で2人起き、1人眠るローテーションで警戒中だ。

今は弟がイビキをかいている。


「このまま朝になりゃいいが。ゴブリンだと1ダースはいる計算だ。」


「もし、そうならどうします?」

自分が尋ねると


「領都まで行って、依頼を受けてから戻ってくるさ。」「街道沿いにゴブリンの巣ができたら討伐依頼出るからな。」

確かにただゴブリンを倒しても金にはならない。


雨は降り続いている。

闇の中でボンヤリと黄色い何かが動いている。

それは段々と近づいてきた。

天候悪い。

農業が主産業になるこの世界では必ずしも「悪い」

訳ではありません。


私の黒歴史がまた1ページ。

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