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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第13章 竜の島

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幸せな葬儀

レイカ視点です。

チャシブと一緒に[竜白]君の館に招かれた。


新築の木の香りがするし、庭には池まであって魚が泳いでいる。

それに、あちこちに篝火が焚かれ、石灯籠にも火が入っている為か明るい。


こちらに来てからは蝋燭や油は日用使いには高価だから、大きな街中でないと夜は暗く、前世では夜も当たり前に明るかったのが嘘みたいだ。

エジソンさんとテスラさんは偉大だよ。

(だが、お陰で明るくなれば起き、日が暮れたら休むと言う事すら、贅沢になってしまっていたぞ。睡眠不要な魔獣でもないのに24時間活動しなくてはならないからな……。)

スマホに入ってるマドウが文明批判しても説得力ないぞ。

(批判しているのではないがな……)



私とチャシブが通されたのは中庭に面した大きな部屋で、中庭には[竜桃]さんが座っている。

他の面々は、この里のお偉いさんみたいだから、[竜桃]さんは親族代表、私とチャシブは友人代表って感じかな。

(いや、違うだろう。)


部屋の奥に最後に入ってきた[竜白]君とアヤメが座り、儀式が始まった。

三々九度の盃を交わし、[竜翠]さんへの結婚の祝詞を読み上げて式は粛々と進んでゆく。


「あの花嫁が[死霊武者]と斬り合いした達人とは誰も思わないよな。」


「ん、まあね。でも[竜白]君は一二三流の免許皆伝だよ。」

アヤメに認められたくて、修行に励んだと聞いた。

そういえば、あの傭兵達との戦闘でも彼は無傷だった。


「それは雰囲気や足運びから何となく分かる。いや、アヤメ見てたから分かる様になったんだ。」

チャシブが、しみじみと呟いたので、祝いの席なのにウルっときてしまい慌てて誤魔化す。


「三国一の花嫁さんだよ。アヤメは」

私の言葉にチャシブの目も潤んでいた。



儀式が終わり、二人は奥の間に去った。

私達は中庭に呼ばれ、[竜桃]さんと話をする。


〘デグ殿にアヤメを説得してくれた感謝すると伝えてくれ。〙

私とチャシブに[竜桃]さんは念話で話す。

チャシブに上手く伝わらないところは私が補足する。


「うーん、デグは説得した訳ではないよ。」


「そうだな。だが、あの時冒険者として一番冷静な判断をし、アヤメに伝えたのはデグだ」

チャシブの言葉は私が通訳する。

意思疎通に言葉って重要だよ。


〘母上から[竜の卵]宛に結納金を預かった。金貨200枚の手形を受け取って欲しい。〙


〘勘違いして欲しくないのは、母上も[竜白]も、そして私も菖蒲が帰ってきて嬉しいのだ。ハイリザードマンの[竜白]と我ら竜は生きる時間が違う。菖蒲が寄り添ってくれるなら、これ程喜ばしい事はない。〙

うーん、望まれて嫁ぐのは幸せとは言うけれど、問題はアヤメの気持ちだよ。


「歩き巫女は種なんだろ?種なんて遠くまで飛ばなくて根付く事もある。それにアヤメは居場所を探して旅をしていただろ。俺も悪くない落ち着き先だと思う。」

むぅ。

割り切れてない私より、チャシブの方が大人だよ。


〘もし良ければレイカ達も里に留まらないか?リザードマン達も私も歓迎するぞ。〙


「私は、まだ旅を続けるよ。まだまだ世界を見たいんだ。」

せっかく病室から出て、健康な肉体を得たのだから画面越しではない世界が見たい。


「俺は……里には住めないな。」

チャシブも呟いた。

少しホッした。

火蜥蜴のお風呂でお金が溜まったら、ブレナさんと一緒に引退するかもって聞いてたからね。


〘そうか……。だが、帰れる場所の一つとして覚えておいてくれ。〙

[竜桃]さんの言葉を私は噛み締めた。

いつか、旅に疲れたら帰って来ても良いかも知れない。



翌朝未明

儀式の主役の二人が奥から出てくる前に竜翼の里を後にした。

花嫁が里心起こさない様に、送ってきた行列は、夜が開ける前に出発する風習らしい。

こうして私の友達、歩き巫女アヤメの幸せな葬儀は終わった。

三国一の花嫁。

冷夏は古い慣用句、天竺、唐、日本を意味して言ってます。

(当時の日本の認識世界では主要国は3か国しかなかった。)

茶渋はこの世界の魔族、妖魔、人間、と言う主要国の意味でとらえてます。

ちょっとした言葉遊びです。


私の黒歴史がまた1ページ。

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