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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第13章 竜の島

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御前会議

ブレナ目線です。

この島の主、[竜翠]を名乗るドラゴンが舞い降りると、皆が自然に頭を下げた。

通常、大天幕内に設けられる会議場が、今回野外に設けられていると言う。


そして、それぞれの代表が控えていた天幕前から歩き始める。

護衛が付き従うのは天幕までだ。

赤、青、黄、竜人、太守の天幕があるが、それとは別に天幕が一つある。

別天幕には大蜥蜴が数頭繋がれていた。


「変っすね。あっしが前に忍びこんだ時には無かったっすよ。誰か兵を伏してるっすかね?」

チャガラさんが、当たり前に物騒な事を呟く。



「偉大なる我らが祖[竜翠]よ。そちらの天幕は何でしょう?御前が臨するこの地には、我ら三族五家の代表と太守が列するのみのはずですが?」

火蜥蜴の太守がチャガラと同じ疑問をドラゴンにぶつける。


〘だからこそじゃ、裏切り者の太守よ。〙

ドラゴンの声と念話が頭に響くが、その声には怒りが滲んでいる。


〘傭兵を手引きし、我が娘[竜桃]を亡き者にしようとした事。我が気付かぬとでも思うたか?〙


「そ、その様な讒言。一体誰が?」

太守が驚いた様に叫ぶ。


〘讒言などではない。全滅した傭兵の持ち物をゴブリンロードが献上してきたのじゃ。その中に[解体した竜の素材]をハルピアに運ぶ船の手配書があった。〙


〘船長は司法取引に応じ全てを自白したぞ。黒幕たるお主の手引で傭兵を島に運んだ事など全てな〙


「この島に雌竜が二匹も居ては迷惑だ。そうでなくとも、雄竜が貴様の歓心を買いに飛来しては航路を妨げるのだからな!」


太守の天幕が騒がしくなる。

[妖魔筒]を装備した30程の兵が会議場に筒先を向ける。

が、ドラゴンが口より放った青白い火球が命中すると隊列を乱して逃げ出す。

ドラゴンが咆哮する。

そして再び火球を放つ。


周りで他の関係ない三族五家の足軽達も逃げ出し始めた。


「竜翠様がお怒りダ」


「見よ太守の兵を!骨も残らぬ。」


「これが竜威っすか……。駄目っすね。」

隣でチャガラさん腰を抜かしている。

いや、自分も同じく腰が抜け動けない。

太守を除く代表達は地に平伏し慈悲を乞うている。


太守だけは背を向けて逃げ出そうとしていたが、乾いた音がすると倒れた。


ドラゴンは他の代表達に向けても咆哮している。

〘アヤメが重い病と皆で謀るとは何事か?普段の報告も『平穏無事』ばかり、大陸で魔王が合戦していた事を知ったのは鈴蘭との茶飲み話から。お前達は一体何を……〙


「母上、母上、落ち着いて。」

白髪の竜人がドラゴンを宥めている。

その隣にはレイカさんとアヤメさん、デグさんがいて、チャシブは我々と同じく座りこんで何か叫んでいる。


「白髪尻尾付きはハイリザードマンだから分かるっすけど、他の3人はヤバいっすよ。何で動けるっすかね?」

チャガラさんが私にしがみつきながら訊いてくる。


「チャガラ!何でお前がブレナに抱きついてるんだ!」

咆哮が納まってきてチャシブの叫びが聞こえた。

改めてだが、凄く後ろめたい。


混乱が収まり会議が再会したのは一刻後になった。




翌日。

昨夜遅くに御前会議が終わり、[竜の卵]にチャガラさんを加えた一行は龍鱗の里に向かっている。


会議では新太守にアヤメさんの父、龍備氏が抜擢され、同時に竜白殿とアヤメさんの結婚も決まった。


前太守の関係者は帰順した者以外の処断が決まり、三族五家はドラゴンの歓心を買う為に昨夜から兵を走らせている。


ドラゴンが息子の竜白殿を背に高原から飛び去った後は、身分の上下も無しに皆、安堵の気持ちに包まれた。

今回の会議ではドラゴンこそが、この島の支配者であると皆、再認識させられた様だ。


「アヤメ、お姑さんが[竜翠]さんだよ大丈夫?」


「[竜翠]様は普段は気さくな方だから大丈夫。」


アヤメ殿とレイカさんが普通に話しているが、どうみても2人共ズレている。


「二人共、頭大丈夫っすか?まるで普通の家に嫁入りする話に聞こえるっすよ?」


「アホ!俺らとは価値観も、頭の作りも違うんだ。失礼な事言うな。」

空気を読めないチャガラさんをチャシブが、嗜める。


「そうだよ。お嫁に行くのではなくお婿さんに貰うんだよ。」


「いや、未成年ながら[竜白]は家を持つ。私はそこに嫁入りする形になる。」

微妙に食い違う会話に私は失笑し、デグさんは黙って肩を竦めた。


「ところで一ついいっすか?お願いがあるっす。」


「なんだよ、茶殻」

改まった物言いにチャシブが普通に返す。


「あっしを[竜の卵]に入れて欲しいっす。」


「あ?何でだ?用心棒はどうすんだよ。」

突然の申し出に皆でチャガラさんを見る。


「用心棒は一刀に引き継ぐっす。竜叫流道場に居づらくなったっす。」


「何やらかしたんだよ。借金か?それとも、辻斬りでもしたのか?」

何故かアヤメさんが笑っている。


「叔父上が嫁を貰うと聞いた。離れとはいえ、新婚の家に居るのは気まずいのでしょう?」


「そうなんす。」

そういうとチャガラさんは項垂れる。


「師匠が嫁を貰うっす。しかも相手は若いんすよ。[くらわんか]の女将の娘の[お花]って言うっす。」


「ん?もしかして、大地母神の神官見習いしてる?」

レイカさんには心当たりがある様だ。


「そうっす。いや確か先日啓示を受けて下級神官になったっす。あっしはハートブレイブっすよ。」


「それを言うならハートブレイクだろ?」

チャシブが呆れた様に話す。


「私が抜ける穴を埋める意味で、検討してはどう?」

アヤメさんが、少し寂しそうに話す。


龍鱗の里に付くまでに結論を出す事になった。

現実社会の人間には、[今のところ(苦笑)]自身を超える存在の支配者はいませんから、竜が人間等をどう支配するかは想像でしかありません。

一応、参考にしたのは[タタールの軛]です。

実際どうなるかは、AIが人間を超える時を楽しみにしましょう(笑)。

しかし、AIに創造は出来ない。様々な作品のモノマネに過ぎない。と主張するクリエイターは過去の作品を読まずに制作してるのですかね?

一般的に人間も面白い作品に触れて、自分も……となるのですから、創造の定義ってなんですかね?

まぁ、人類の引き起こす問題を解決するには適度な数で、また問題ない人間だけ残して間引くしかないとの不都合な真実にAIはすぐ気がつくでしょうから、AIを恐れる気持ちもわかりますが……。

(テンプレートSFか魔王の発想だ)


私の黒歴史がまた1ページ。



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