雨夜
ちょっとした実験です。
街道から少し外れるが、領都が出来る前の砦跡が近くにある。
地元を旅する住人なら知っている場所で、森に囲まれた
小さな丘になっていて、水捌けが良い。
雨が降り始めている。
街道脇で野宿をしても良いが、このあたりは水捌けが悪く、テントを張っても濡れる可能性がある。
「砦跡に回ろう。」
仲間達は反対しなかった。
テントを張り終え、火を焚き水を沸かす。
塩辛い干し肉を放り込み、芋と煮込んで夕食にする。
焚き火をみて、ゴブリンが近づいてきてもこの場所なら対処しやすい。
「水を汲んでくる。」
2人が森に向かって歩いてゆく。
近くで、イチャつくのは気まずいのだろう。
いつの間にか親しくなっていたが、あんな女の何処が良いのか気がしれない。
「2人が戻らねぇぞ。」
これからの事をぼんやり考えていたら、声をかけられた。
ヤルのは自由だが、節度は持ってもらいたい。
ゴブリンに不意打ちくらうとは思えないが、ヤリ疲れて寝込んでいたりしたら厄介だ。
「迎えにゆくぞ。」
念の為、剣を携えテントを出る。
雨が少し強くなっていた。
私の黒歴史がまた1ページ。




