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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第13章 竜の島

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姉弟

レイカ目線です。


傭兵達と戦ってから数日、私達[竜の卵]の二人と本物(・・)の竜の姉弟は[竜翼の里]目指して旅をしている。

ただ竜の姉弟とはいえ、この姉弟は姿がまるで違う。


弟の竜白君はハイリザードマンだが、リザードマンよりは竜人に近い姿をしている。

頭の左右にちょこんと生えた角と立派な尻尾が特徴で髪の色は綺麗な白。

従者のリザードマンさんを連れた良い所の坊っちゃんという感じだ。

アヤメの許婚らしいけど、まだ少し幼い感じがする。


対して、姉の竜桃さんは、いかにも(ドラゴン)といった姿で、大きさも象ぐらい。

食事は猪や鹿を獲ってきては、生で噛じったり、ブレスで焼いて食べたりしている。

(まだ竜翠よりは格段に小さいがな。縄張りに海が多い竜翠は鯨を食べる事が多いと聞いている。)

うーん、ワイルドだね。


そして話す時は唸り声に乗せた念話。

私とデグさんは竜血を浴びたので、ハッキリ分かるけど、お付きのリザードマンさんは竜白君が通訳しないと分からない様だ。


〘言葉に念を乗せるのは難しい。母に習って勉強中だが……〙


「普段は竜語なの?」


〘母と話す時は[古竜語]で、そうだな、旧リザードマン語と似ている。旧リザードマン語は文字がなかったので、転生者が持ち込んだ日本語と混ざり、現リザードマン語に変化した。〙


〘だから念を乗せて話しているのは古竜語。同族や、血を浴びたり、飲んだりした魔術的に繋がりある者には通じても、そうでない者へは、まだ難しい。指向性を持たせたりもしなくてはならないし。〙


「うーん、今の話だと話すの竜翠さんだけだよね?古竜語って必要?」

〘将来、他の竜と話すのに必要。リザードマン語はこの島独自のローカル言語だからな。〙


「そういえば、竜桃さんはアヤメの事知ってるの?」


〘知ってるも何も、菖蒲は背にも乗せた事がある、我が親友だ。〙


背中に乗せるって凄いのマドウ?

(それは凄いぞ。まだ小さな竜とはいえ、竜が背に乗せるのは余程の事だ。)


〘冷夏もアヤメの友人だろう?〙


「そうだよ。友人で冒険者仲間。」

だから、菖蒲が納得しないなら竜白君と政略結婚は認めたくない。


〘そうか、菖蒲は冒険者になったのだな。竜白の許婚には勿体ない娘だ。聖女殿もそう思うであろう?〙


「姉上〜。」

竜白さんが情けない声を上げる。

うーん、竜白君って多少シスコン気味かなぁ。


〘アヤメが家を出るのは我と鈴蘭のみ知っていた。島を出て歩き巫女になりたいと聞いていたからな。〙


「え、ではアヤメの大病の治療が嘘と知ってたんですか姉上?」


〘太守や三族五家の長老達など信用ならん。竜白、そなたもアヤメではなく適当な相手と結婚し、卵を産ませれば良い。〙


「いえ、姉上とはいえ、そこは譲れません。」

うーん。

少なくとも、竜白君はアヤメが大好きらしい。

困ったぞ。




数日後

私達が竜翔の里に入ると、リザードマンさんが何人か迎えに出てきてくれた。

勿論、竜白君と竜桃さんを出迎えてだけどね。


そして、竜白君の付き人だったリザードマンさんが、傭兵達に襲われた話をすると、里は騒然となった。


「なんたる不敬!」


「太守は何をしていル!」


村人達が騒ぎ立てる。

今更、騒いでも終わった事なんだけどね。

うーん、どうしよう。

(リザードマンにとり、竜は祖先にして神だからな)

流石にそれは知ってるぞマドウ。


ざわつく村人達に向けて竜桃さんが咆哮する。

村人は一瞬にして静まりかえる。


「その時、助太刀くださり、さらに重傷を負った姉上を癒やしてくださったのが、歩き巫女冷夏殿と戦士デグ殿だ。客人として迎えて欲しい。」

竜白君がその沈黙の隙に話す。


「冷夏殿が居なけれバ、竜桃様は危なかっタ。」

付き人リザードマンさんも話に追随する。


〘温泉もあるし、最近は陶磁器の密輸出で里は潤っている。ゆっくり過ごすと良い冷夏。〙

竜桃さんは、もう一鳴きすると飛び去った。

私達は里長の館にしばらく滞在して、[竜の卵]としての合流を待つ事になったけど……。

うーん、どうしよう。

事実は小説より奇なり

投稿日2023.06.25

ロシア版、西南戦争が勃発しそうですね。


追記。

24時間で収束。

小説よりも、複雑怪奇(苦笑)


私の黒歴史がまた1ページ。

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