幻を
シュリー視点です。
突然ですが問題です。
作中のシュリーの借金は毎年銀貨40枚づつ天引きで返済されます。
問1)約何年で返済終わるでしょう?
問2)上記の返済総額は約いくらでしょう?
銀貨でお答え下さい。
答えは後書きで。
一緒に寝ていたベッドから彼は出て行き、私は壁際に寝返りを打って、背中で彼が荷物を纏める音を聞いている。
昨夜、さり気なく「このまま暮らさない?」と尋ねたが、やっぱり彼は出てゆく様だ。
ここしばらくの生活は楽しかった。
仕事から帰ると彼がいて、話をしたり、食事をしたり、そして毎日ではないが、情熱をぶつけ合ったりした。
昔思い描いていた生活そのものだった。
私には魔術師学院時代に付き合っていた彼氏がいた。
私と同じ平民で、成績は座学は私が少しだけ上、実践は彼の方が格段に上だった。
そして、ハルピアの学院を卒業し、私はこの火蜥蜴の魔術師学院に就職が決まり、彼は冒険者になった。
二人とも奨学金で学んでいたので、卒業した年から一人頭金貨10枚と複利の年利10%の借金に悩まされる事になっていたので仕方がない。
「手紙も書くし、お金が出来たら必ず迎えに行くから。」
そう言って彼は旅立ち、だが最初届いていた手紙も、少しづつ間が空く様になり、やがて来なくなった。
生きているのか?
死んでしまったのか?
私の事など忘れたのか?
それとも思う様に稼げていないだけなのか?
やはり、あの時「行かないで」と泣いて留めるべきだった。
今出来るのは待つ事だけ。
しかし、当てもなく待つのも疲れた。
そこで出会ったのが彼だった。
彼は上手くいった冒険者で、既に借金は返済したという。
「じゃあ、何で冒険者を続けてるの?お金の為に冒険者になったんでしょ?」
正魔術師で借金がなければ、食べるに困らない程々の仕事は、すぐ見つけられるはず。
彼は困った顔をして、今は仲間の為に冒険者をしている。
だから、仲間から連絡が来たら出て行くと言った。
私は、「それでも良いから、今は側に居て」と、ギルドで再会したあの日ベッドでせがんだ。
そして昨日の夕方。
スラム訛の女剣士が手紙を持ってきた。
私は幻を愛した。
届かなくなった手紙の彼に重ねて。
幻のつもりだった。
今から縋りついて、行かないでと言えば彼は留まってくれるだろうか?
いや、彼の中の私をそんな惨めな女にはしたくない。
寝ているフリをしている間に出て行ってもらう。
それが最後の、せめてもの、矜持。
そして。
酒器を片手に、部屋の窓辺から外を見ると、彼が歩いて行くのが見えた。
また微妙なラインに投げて見ました。
何か湿っぽい。
うん、似合わない。
答え
1)約18年
2)約銀貨720枚(銀貨719銅貨20枚)
利息が約金貨11枚銀貨19枚銅貨20枚と元金越えます。
私の黒歴史がまた1ページ。
前の計算違ってました。
訂正します。




