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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第13章 竜の島

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挨拶

アヤメ視点です。

GW最終日。

休みが終わると憂鬱の方

連勤が、ようやく終わるという方

そんな菓子は食った事がない(笑)という方

皆さんお疲れさまです。


この竜の島では珍しい煉瓦造りの小さな建物と周りに張られたテントがいくつか。

スラムに近い場所にある、この建物が竜の島最大の大地母神殿だった。


「街の中央にある〘(ドラゴン)神殿〙とは偉い違いだね〜」

冷夏が正直な感想を述べる。


私も火蜥蜴の大地母神殿には初めて来たので、ほぼ同じ感想だったが、以前母に「聖王国、聖都の大地母神殿はスラムの中心にあるテント」と聞いた事があるので、ある意味納得している。

その街で、主流でない神の宗派の神殿は大抵がそんな物らしい。


「歩き巫女様、お二人ですか?」

近づく私達を見つけた神官見習いのオカッパ頭の少女が近づいてくる。


「そうだよ。無事に街に着いたから挨拶に来たんだよ。」

冷夏の言う挨拶は旅の無事を大地母神に報告する挨拶で、神殿への挨拶ではない。

ただ事実上神殿に顔を出せば、情報の交換なり、奉仕なりはするし、逆に便宜をはかってもらったりもする。

よく考えられたシステムだと思う。


「お花〜何処にいるの〜お花〜」


「入口です!お客様です〜。」


「フロワをそっちにやるから厨房を見て!」


建物から声がかかり、お花と呼ばれた少女は私達に頭を下げてから返事をした。


「大丈夫、拝殿は正面でしょ?案内されなくてもわかるよ。」

冷夏が笑って言うと、見習いの少女は恐縮しつつ建物に走ってゆく。


「見習いさんは、どこも大変だ。」

冷夏の呟きに私は苦笑した。


私も冷夏に出会う前は同じ様にオカッパ頭で雑用をこなす日々だった。

ただ私にはケリー先生と言う尊敬出来る師がいて、半ば専属だったので、そこまで大変ではなかった。

ケリー先生の部屋はアレだが、何処に物があるか把握しているので触らないでと言われていたし、私も本が読み放題だったので気にはしていなかった。

(一度だけ大神官に、ケリー先生共々防火面に不備があると、怒られたのは秘密です。)


煉瓦の建物を正面の大扉から入ると、すぐに大地母神のシンボルが掲げられた広間になっていた。

明かり採りの窓が上手くシンボルを後から照らす様に配置されていて、自然と神秘的な雰囲気が出る様になっている。

だが、残念ながら祈りを捧げる信者は誰も居ない。


冷夏と祈りを捧げていると、足音がして見習い神官着を着たリザードマンが入って着た。

祈りが終わると話かけてくる。


「歩き巫女様方。神官長が、ご挨拶したいそうでス。」

リザードマンで大地母神の見習いは珍しい。

もちろんリザードマンだからオカッパ頭ではない。


「こちらこそ、神官長様とお話出来るなら光栄です。」

私が返事をすると、見習い神官のリザードマン、フロワさんが案内してくれる様になった。


「お時間あるようでしたラ、食事もなさって下さイ」

昼食を取りながら情報交換といった流れだろう。




「あの、違ってたらごめんなさい。菖蒲さんは鈴蘭先生の娘さん?」

互いに挨拶を終えた後、神官長にそう尋ねられた。


「やっぱり、そうですか。先生には大変お世話になっています。」

私が肯定すると神官長は深々と頭を下げた。

聞けば病に関する相談を手紙でやり取りしたり、貴重な薬の調合を依頼したりしているそうだ。


「いえ、私は放蕩娘ですから。火蜥蜴に寄ったのも船の都合ですし。」

母には以前、五人の弟子がいて神官長は孫弟子にあたるらしい。

ちなみに今、生き残っている弟子は一人だけで、魔王館に勤務していると聞いた事がある。

神官長はその人物の弟子との事だ。


「そういえば、ハルピアに聖女が顕現したと噂で聞いてます。不治の病の石化病を癒やしたとか。ご存知ですか?」

神官長が情報交換の為に話を変えた。

ご存知も何も隣に座って白湯をすすっている。


ただ、冷夏は愛想笑いを浮かべて黙っているだけで、神官長も話を振らない。

大地母神神官はシンボルに通す紐の色で地位がわかる。

鈴木冷夏と名乗り、若い上級神官となれば貴族と相場が決まっているからだが、さて、どう話したものだろう。


「ええ、奇跡の瞬間には私も立ち会いました。涙が出そうでした。」

嘘は言っていない。


「噂では聖王国で石化病が蔓延している様です。ただ石化病は、もう不治の病ではなくなりましたね。」

これも嘘ではない。

聖女から石化病に話を逸らそう。


「聞いてます。[聖女の丸薬]ですよね。ただ一粒金貨20枚では王侯貴族しか治らないでしょう。」


「これ一粒、金貨20枚もするの?」

冷夏が紙に包んだ丸薬を3粒ポーチから取り出した。

もちろん本物だ。

私が先日調合したのだから。


「お持ちなのですか!」

神官長が思わず立ち上がる。


「ハルピアの神殿で貰ったんだよ。この神殿には魔法の貯蔵施設あるって聞いてたからね。寄贈するから保管して欲しい」

神官長は今度は椅子に座ろうとして、よろけて、ひっくり返った。


「神官長さん。大丈夫?」

冷夏が神官長を助け起こす。

聖女の話は何処かに飛び去っただろう。


「神官長様、歩き巫女様、昼食が出来ましタ」

部屋の外からタイミングよく声がかかった。

金貨1枚=銀貨33枚+銅貨10枚

銀貨1枚=銅貨30枚

銅貨1枚=小銅貨10枚

酒場でエール頼むと大抵は銅貨1枚

冒険者の店の標準が朝食付で一泊銅貨10枚

底辺に近い冒険者の日当が銅貨20枚です。


私の黒歴史がまた1ページ。

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