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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第13章 竜の島

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葦原

茶渋視点です。

今日は妹分の茶殻と姉貴分の茶蕎麦もとい白檀を訪ねる事にしていた。

ブレナは宿で二日酔いで唸っている。

芋酒は旨いが、その分調子に乗って飲み過ぎるから、慣れないうちは大抵酷い目に合う。


それに妓館はブレナには近づいて欲しくない場所だ。

信じてないわけではないが、誘惑に負けない一番の方法は近づかない事だと知っている。


デグは昨晩、一刀と連れ立って入鳩亭に向かったと聞いた。

そこそこの値段で、そこそこの夢が買える店だが、一刀に入れあげている妓女が何人かいるらしい。


「大金を巻き上げられず、うまく慰められればいいっすけどね。」

茶殻のコメントに龍真殿は苦笑いしていた。

一刀は何でも、竜人五家に連なる家柄らしく、金には困ってないそうだ。

それ故に話に聞いた、冷夏の「趣味の刀術」と言う言葉の一撃が堪えたのだろう。

金に困った事がないとは羨ましい限りだ。


冷夏とアヤメは二人で大地母神神殿に顔を出すと言っていた。

この島では実在する竜を信仰しているのが大半だから、大地母神も至高神も少数派だ。

ただ竜の信仰は特殊で奇跡を授かる訳でないので神聖魔法を使える神官、司祭は重宝されている。



「茶渋ネェ、そろそろ[葦原門]っすよ。」

俺ら通称茶姉妹はスラムに居たが妓館が連なる[葦原門]をくぐったのは白檀姉だけ。

この堀と塀に囲まれた[葦原]は火蜥蜴の太守の力も及ばない。

正確には大金を納めるかわりに自治権を買っているのだが同じ事だ。

楽しみに来る男共と違い、女の出入りは自警団に厳しくチェックされる。


「ちわっす。龍鳴館の茶殻っす。こっちは、ご存知、あっしの姉の茶渋っす。」


「ありゃ?やっぱり冒険者は駄目だったのか。どの店に入るんだい?」


「ちげえよ。」


確かに冒険者から身を持ち崩し、自らを売って借金を精算する女はいる。

若ければ何処ぞの妓館か妓亭が買ってくれるし、年増なら夜鷹の元締めに所場代納めて個人事業主になる。


因みに妓館と妓亭の違いは宿泊施設での登録か食事施設での登録かの違いだけで営業している中身は一緒だ。

自治会に納める金額が登録で違うらしい。


「っか、唐黍(トウキビ)お前が門番かよ。」

シーフギルドで同期だった男だ。

若くして[スリの唐黍]って二つ名持ちだったはずだが……。


「いや〜ドジ踏んでね。」

「簀巻きにされて海に放り込まれ、命は助かったが利き腕が痺れて駄目になっちまった。」

唐黍は笑って右手をぎこちなく振る。

「今じゃ、しがない門番さ。」


「半分ウソっす。現役は引退したっすが、[葦原]のスリの元締めしてるっす」

小声で茶殻が囁く。


「茶渋、ゴブリン達の夕食になる前に足洗えよ。」


「余計なお世話だ。魚の餌のなり損ない!」

悪態ついて別れたが、妙な連帯感があるのは、互いに明日も知れないシノギをしているからだろうか。



「そういや茶殻。お前、『夜鷹になりかけた』って言ってだけど、その見た目なら色々な店からスカウトきたんじゃねえのか?」

歩きながら、ふと疑問に思った事を尋ねる。

シーフギルドに上納金納められず、借金こさえて身売りするにしろ、夜鷹は年増がなる者だ。

今の茶殻なら妓館、妓亭から引く手あまたでも不思議ではない。


「それに妖魔神の啓示受けてたなら、闇司祭で食う手もあっただろ?」

竜の島では妖魔神信仰が認められているから、闇ではないのだが妖魔神の司祭は闇司祭と一般に称されている。


「いや〜それが駄目だったんすよ。」

「ちょうど、その頃、妖魔神のカルトが妓女に流行ってたんす。」

茶殻は笑いながら話す。


「夜鷹の内腑を抜いたりするヤバい奴がカルトの闇司祭で、あっしは混同されちまってたっすよ。」

何故だろう。

俺の周りには、どう見てもヤバい事を笑いながら普通に話す連中ばかりだ。

いや、俺の方が、おかしいのだろうか?


「そのヤバい闇司祭が何故か白檀ネェを狙ってて、それを叩き斬ったのが師匠っす。」


「格好良かったす。惚れたっすよ。今後は押しかけ弟子から、押しかけ女房になる予定っす。」

茶殻が将来の夢?を力説している。

そうして歩いている内に龍鳴館が見えてきた。


だが、店の前には数人の殺気立った男が怒声を上げていた。

ある底辺なろう作者の検索履歴の一例

芥子、アヘン、ヒーロー、ヘロイン、作り方。

火縄銃、火薬、火縄銃の撃ち方、威力、作り方。

間違って、捕まったりしたら弁明大変そうです……。


私の黒歴史がまた1ページ。


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