契約者
ミケ視点です。
冷夏は緊急時でないときは大地母神と呼びます。
(使8残0)
「大地母神よ、全ての傷を、癒やし給え。」
翌朝、転生者が赤毛の傷を1回で癒やした。
「凄いな、おい。あの嬢ちゃん、誘えないか?」
仲間が小声で話かけてくる。
誘わない手はない。何しろ世界に6冊しかない大魔法書の契約者なのだから。
[勇者の書]
初代勇者のパーティーメンバーのハイダークエルフ
[魔王の書]
先日戴冠した魔王
[エルフの書]
エルフの里のハイエルフ
[魔術の書]
魔術師ギルドの代々のギルド長
[妖魔の書]
私の養父、白いダークエルフ
[無名の書]
転生者
大魔法は世界で6人しか使えない。
[転移]など、小魔法なら儀式に3日はかかる。
オーガに迫られ、短時間で使える術ではない。
村ヘの帰り道に改まった話し方で声をかける。
「冷夏さん。歩き巫女としての目的地がないようでしたら、一緒に旅をしない?」
転生者はあっさり承諾した。
断わられたら、……と考えていたが杞憂だった。
夜。
兄弟の旅立ち。
村を脅かしかねなかったオーガの討伐。
村長のはからいで、ささやかな宴が用意された。
「白々しい」
赤毛が呟く声が聴こえなかったフリをして、隣りに座り微笑みかける。
仲間が乾杯の音頭をとり、酒宴が始まる。
転生者は食べる事に夢中で禿頭が向ける視線には気がついていない。
勇者の血筋の兄弟。
大魔法契約者の転生者。
里で「哀れな生き物」と評された私にも運が向いてきたかもしれない。
ジグは猟師小屋で翌朝まで、ただ寝かされていました。
もちろん痛み止めなどなしで。
ジグは神聖魔法ですぐ治りましたが、神聖魔法のない現実世界でも紛争地などでは、今でも同じ目にあっている人がいます。
次からは新しい章になります。
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私の黒歴史がまた1ページ。




