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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第13章 竜の島

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試合

ブレナ視点です。

え、麦畑宿での茶渋との描写をしろって?(笑)。


「茶渋ネェよく来たっす。アヤメ様達も、師匠達がお待ちっすよ。」

スタイル良い美人が我々を出迎えてくれた。

「あれ、茶渋ネェ。その魔術師殿、彼氏っすか?前に聞いた理想通りじゃないっすか!」


「な、何言ってんだ!茶殻」

茶渋が狼狽している。


「そうだったんだ。やるな~茶渋。」

冷夏さんが告げると茶渋は顔を紅くした。

私も少し紅い顔をしているだろう。



[竜叫流]というシンプルな看板が掲げられた入口を抜けると道場の中は奇声と熱気に満ちていた。


実戦を考えてか床は土そのまま。

建ててある木の棒に、何人もの男達が奇声を上げながら、木刀などではなく、太い木の棒を何度も叩きつけている。


「アヤメ様達は師匠のお身内っすから見せてますけど、本来、部外者には非公開っすよ。」

茶殻さんが説明してくれるが、私には意味が分からない。

ただアヤメ殿が頷いているので、剣士には意味があるのだろう。


「師匠!一刀!いらしたっす。」


「そうか。本日はこれまで!」


茶殻さんの言葉に、先日会った初老の男が叫ぶと、道場内の鍛錬が中断された。


先日の二人の男が近づいてくる。

初老の男がアヤメの叔父の龍真殿、顔を腫らした若い男が一刀殿だろう。


他の門弟達は一礼して出て行く。

皆、若い。

去り際にアヤメ殿かレイカさんを一瞥してゆくのはご愛嬌といった所だ。


「あのあと女将から聞いた。すまぬ。」

門弟が全て去った後、冷夏さんとアヤメ殿に龍真殿が頭を下げるが、一刀殿は、そのまま立っている。


「一刀!謝らないっすか?師匠の顔に泥塗るつもりっすか?」茶殻さんが叫ぶ様に話すが、一刀と呼ばれた男は頭を下げない。


「私は謝る為に菖蒲様達を呼んでいただいた訳ではない。」

木刀を私達に向け差し出す。


「私の刀術が遊びなどではないと証明する為に呼んでいただいたのだ。」

デグさんが木刀を受け取る。


「デグ。木刀を、こちらに」

アヤメ殿が刀をデグさんに預け替わりに木刀を受け取る。


「師匠、止めないっすか?無駄に刀を抜くのを戒めてるじゃないっすか?」


「茶殻、止めても無駄だ。木刀とはいえ一刀は刀を抜いたのだ。刀を抜いたらどうすると教えている?」


「抜いたなら、斬るのみっす」

そう言って茶殻さんは黙る。

アヤメ殿と一刀殿が道場の中央に互いに歩み構えた。

互いに一礼もしない。

唐突に剣術勝負が始まった。



「わぁ、蜻蛉の構えだ。確か『初太刀は外せ』って近藤さんが言ってたやつだよ」

レイカさんが呟く。


「レイカ殿。初太刀こそ我が流派の奥義の一つ。近藤殿とは、どの様な方なのですか?」

龍真殿が酷く驚きレイカさんに尋ねるがレイカさんは、はぐらかす。


「う~ん、後でね。アヤメは……あれ?中段に構えてる。」

アヤメ殿は普段の構えと全く違う構えを取り、自然に脱力した構えだ。


「イェアエ!!!」

一刀殿が竜叫を上げ踏み込み木刀を振り抜く。

速い、しかもあの感じでは木刀でも当たれば死ぬか大怪我は避けられない。

が、アヤメ殿は中段に構えたままで、足捌きで躱しカウンターで突きを放った。

私には木刀が顎先を掠った様にしか見えなかったが、一刀殿は受け身も取らず倒れ、立ち上がれない。


「アグぁ、オげが……」

一刀殿の顎は完全に砕け、膝にも力が入らない様子。


「一本!一刀の負けっす。今、治癒魔法掛けるっす。」

茶殻殿が駆け寄る。


「……これ程とは……」

龍真殿が呻く様に呟いた。



料理屋[くらわんか]は安価な料理と竜の島独自の酒を出す良い店の様だ。

一刀殿はあの後「腹を切る」と言い出し茶殻さんが必死に留めた。

今は一刀殿は座敷の隅の方で、デグ殿と2人、芋酒を煽っている。


「叔父上、連日馳走になってますが大丈夫なのですか?」


「何、この店は安くて旨いが売りだからな。それに昨日の騒動で龍鳴館から臨時手当も出た。」


「はい、ツケも精算していただきましたし、[竜の卵]の皆さんも是非ご贔屓に。」

濁り米酒を運んで来た女将が声をかけてゆく。


「ところでアヤメ。あの技は何だ?そなたは一二三流を学んでいたのでは、なかったか?」


「大地母神殿の練武場で盗んだ技ですよ。道場試合なら竜牙流の突き技の方が有効ですから。」


「一刀では、そなたの一二三流を見る事も叶わぬか。儂と会わぬ間に何を斬った?」


「つまらぬ者ばかりです。」

人狼、マンティコア、破落戸共、アヤメ殿は言葉で、それらを再び斬って捨てた。


「わぁ。アヤメ、五右衛門みたいな台詞。渋いなぁ。」

レイカさんは飲んでないはずなのにテンションが高い。

それに五右衛門とは誰だろう?


「茶渋ネェ。どうやって迫ったすか。それとも誘惑したっすか。あっしにも伝授して欲しいっすよ。」


「悪い酒だなぁ。茶殻」

茶渋は茶殻さんに絡まれている。

だが、見ていて微笑ましいのは姉妹同然の間柄と聞いたからだろうか?


「魔術師様、こちらをどうぞ」

女将が勧めてくれた煮物に辛い芋酒が抜群に合う。


明日は二日酔いかも知れない。

そう思いつつも杯を重ねた。

ご存知とは思いますが、レイカの台詞の勇さんと石川さん。

勇さんは幕末に実在された方、石川さんは二次元の大泥棒の三代目の仲間です。


私の黒歴史がまた1ページ。

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