流派
久しぶりのデグ視点です。
デグって誰かって?
戦士だ……。
自分とブレナ殿は湯殿から出て休んでいる。
乗っていた船の船員の大半が、この湯に来ていた。
船に居残りになるのは船員でも下っ端か、船員同士の賭博に負けた金欠の船員と決まっている。
大抵の船乗りは湯を出ると、そのまま歓楽街に繰り出してゆく。
ここに居れば歓楽街で今、誰が売れっ子か?とか、予算にあった店はどこか?などが分かる。
「花街での人気は龍鳴館の[白檀][黒檀]龍昇館の[総花][墨花]だが、莫大な金がかかるし、そもそも一見じゃ話にならねぇ。」
「俺ら、船員や冒険者なら[入鳩亭]の飾り窓あたりから適当なのを、だな。」
「夜鷹は止めときなよ。そんときゃ安くても、後々神殿での病気治癒の寄付で高いものにつくってな。」
欲望を持て余した野郎ばかりだから、大半がそんな話ばかりだ。
後は、怪しげな武勇伝が繰り広げられるが、竜の島らしい話題は刀術で、どの流派が強いとかの話が混じる事だ。
「やっぱり[上竜牙流]か[下竜牙流]だろう。竜人五家の家臣やリザードマンの大半が学ぶ流派だ。」
「上下の違いは?」
冒険者が尋ねる。
「身分の違いさ。上には儀礼的な要素も入るが、強いは強い」
「[竜影流]はどうですか?」
ブレナ殿が口を挟む。
「奴らはなぁ。必ず数人で連携して戦うからな。敵にまわすと厄介だが、個人で強いかは微妙だな。」
「[一二三流][双月流]それに[竜叫流]はどうだ。」
筋骨隆々の初老の男が声をかける。
「[一二三流]は確かリザードマンのマイナー刀術だよな。使い手を見た事がない。」
「[双月流]は自称[剣聖]の起こした二刀流だろ?[剣聖]は強いが、ありゃ個人の才能の賜物だ。流派として強いかは疑問だな。そもそも継承出来る弟子がいるのかね?」
「[竜叫流]はどうだ?」
初老の男が再度尋ねる。
多分、この男は竜叫流に縁があるのだろう。
だが、話す男は、それに気付いていない。
「[竜叫流]か?ありゃ狂人の刀術だ。」
周りの者達が、皆笑う。
「竜の咆哮に倣ってとか言うが、毎日、毎日、奇声を上げて稽古してやがる。」
「しかも、聞けば捨て身で切り込むのが奥義って言うじゃないか、狂人刀術としか思えんね。」
尋ねた男も苦笑しているが、1人だけ若い男が歯を食いしばり黙っている。
「しかし、それは強そうですね。昨日、竜の咆哮を間近で体験しましたが、危うく尿を漏らしそうになりましたよ。」
流石はブレナ殿。
その若い男の様子を見て、うまく話を逸しにかかった。
「あぁ、聞いたぜ。実際漏らした船員もいたそうじゃないか。」
船員の何人かは気まずそうだ。
「でも、大地母神の上級神官と、その付き人や護衛は平気な顔してたらしい。ありゃハルピアで騒ぎになった聖女じゃないかって噂だ。」
聖女ねぇ……などと、しばらくざわつく。
刀術の話は完全に流れた。
「ありがたい聖女様より、今夜の女の方が重要だぜ。」
しばらくすると、船員達や冒険者達は一夜の花を求めて出て行く。
この近くに残ったのは初老の筋骨隆々の男と歯を食いしばっていた若い男、ブレナ殿と自分だった。
「魔術師殿、先程はありがとうございます。」
ブレナ殿に初老の男は礼を述べた。
だが、若い男は納得していない様だった。
「先生!先生は何故平気なのです?私はあの様な侮辱、我慢なりません!」
「そなたは、刀術は使えるが修行が足りぬ。武に優れた者なればこそ、刀を抜かずに済ませよ。」
「それに狂人の刀術と思わせておけば、いざ対峙したとき相手が勝手に侮ってくれるではないか。」
初老の男は笑う。
「しかし!……」
若い男の憤りに初老の男は肩を叩く。
「冷水でも浴びて頭を冷やせ。俺も浴びる」
その師弟は再び湯船に向かった。
「デグ、先に上がります。その……茶渋と約束しているので……」
ブレナ殿は先に店を出る様だ。
自分はもう一度湯船に向かった。
今年は祭日のタイミングが悪く3連休が少ない気がします。
友人とは違い[新しい菓子]を多少なりとも噛じったりしてますが。
しかし、経営者とは金は出したくない。休みはやりたくない。生き物の様です。
同僚が有給を2日使うのに、あんなに苦労しているのを見ると日本の有給消化率50%には統計の嘘が多分に含まれるのが分かりますね~。(ヨーロッパの有給消化率は90%越えが普通)
辞め際の有給消化を除いたら、どれだけ減るか……。
まぁ日本は統計で真実を言わない国ですからね〜。
失業率もアルバイトが失業でない統計になっていますし、海外との比較はアテになりません。(EUはアルバイトは失業者の統計)
うーん、闇が漏れてる。
闇落ちキャラの様だ(笑)
私の黒歴史がまた1ページ。




