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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第13章 竜の島

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光の声

新しい章に入る前のオマケです。


「適当な仕事しおって、転生者の魂を何故トロールの肉体に……。しかも、肉体も通常のトロールの3倍の能力ではないか。」

「儂が突然変異や自然淘汰で穏やかに事を進めておるのに。」


「そのハイパートロール、借りられませんか?」

「明けの明星を助けるのに使いたいのです。魂の浄化が、まだ終わってない今、死なれると困るので。」


「借りるも何も儂が進化させた者ではない。」

「ただ釘は刺しといてくれ。」

「このままではハイパートロールの子孫がノーマルトロールと入れ替わるから、トロールは更に恐ろしい怪物に進化すると。」


「あら〜知能も上がるから、カバと間違われるぐらい、おとなしいトロールに進化するかもしれませんよ。」

「それにダークエルフの時は貴柱も無理なさったではないですか?」


「エルフは安定しているが停滞しておる。」

「それに、あの時、契約を望んだのは儂からではない。」


「来ましたか。」

「久しぶりです。」

「誤って焚書した魔導書を復元していただき助かりました。」


「そうですよ。」

「6つの魔導書でバランスをとる計画が台無しになる所でした。」

「計画に相互監視は欠かせないのですから。」


「じゃが、既に計画は破綻しておらんか?」

「自己学習する魔導書に世界の運用を任せようなどとは無理がある。」


「そうですか?」

「既に冠は魔族の統一には欠かせない魔導書になってます。」


「じゃが、全く持って魔族は安定しておらぬじゃろ?」


「……まぁそれは……」

「少なくとも金融や貨幣経済などを事実上安定させているのも魔導書の一冊ですよ。」


「誤魔化しおって。」

「それに、そなたは全体の安定の為と言いつつ争いを肯定しとるよな?」

「互いに違う正義の概念を与えて争わせるなど悪趣味が過ぎる。」


「正義は、そういう意味ではないのですが、まぁ、1つの種族が繁栄しすぎた結果として、世界の大半の生き物が滅ぶのは避けたいですね。」


「その為に貴柱は手段を選ばんではないか!」


「お二柱共、お話は、それぐらいで。」

「どちらにしろ、自己学習機能があるとはいえ、まだまだ学習が足りません。様々な資料を与えなくては。」

「それに自己学習は望まぬ方向に進む可能性もあります。相互監視も不完全ですので、まだ我々の関与が必要です。」


「とはいえ、あのトロールはないんではないか?」


「魔王ではなく、不死者の王と戦わせる予定だった新たなる転生者。多少形は違えど問題ありませんわ。」


「明らかに失敗を取り繕ったぽいぞ。」

「それに、苦労してるのは儂なのじゃが……」


「まぁまぁ、勇者並みの素材を注ぎこんだのを破棄するなら再利用した方が良いですよ。」


「それにしても、次の契約者が直ぐに見つかったのじゃろう?そちらに転用すれば……。」


「転用は無理です。物理的にハイパートロールみたいなパワーがある聖女ってありえません。」


「じゃからと言って、あの適当な作りで聖女に仕立てたのは無理がないかの?」

「頭の方も盤上遊戯以外はイマイチじゃし。」


「魔導書の早急な復元に必要だったので仕方ありませんわ。」


「まぁまぁ……そこらは復元した魔導書がなんとか……。」

「ハイパートロールが間に合うなら、不死者の王は出現せずに済みそうですし……」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「クシュン!」


「甲板は冷えますよ。冷夏。」


「大丈夫だよ、アヤメ。」


「(でも何か、すごくディスられた気がするよ。マドウ)」


「(?。気のせいだと思うぞ、冷夏)」


「(う~ん。)」

私の黒歴史がまた1ページ。


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