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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第12章 兎達の戦い

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南門

ようやく兎の章終わりそうです。

少し短めです。

ハイレン視点です。


夕方の鐘が鳴り、門が閉まる直前に聖都を出た。

最後に一度だけ振り向いたが、閉まる門を見て、また涙が出そうになった。


大丈夫、いつか戻れる

自分に言い聞かせる。

それに[生きて]と条件をつけなければ、回収班に処分されたらすぐだ。

首ぐらいは持ち帰られるだろうから。



南門から1番近い森の端、半刻あまり歩いた所にその猟師小屋はあった。


灯りはついておらず、見張りも居ない。

あたりは、すっかり暗くなり、待ち伏せ警戒でなければ、ランタンに灯りを入れる暗さだ。


居る。

待ち伏せの気配がする。

そっと小屋に近づく。

すると、後から微かに音がした。

躊躇わず振り向きざまに、手にしていたモーニングスターを横薙ぎに振り抜く。


もし、これで後に居たのが一般人なら、私は立派な殺人者だ。

だが、その心配は杞憂に終わり、鉄球は後から忍び寄っていたスカウトの側頭部を砕く。


先ずは1つ。



舌打ちと共に、茂みからリザードマン刀を持った男が斬り込んで来る。


初見殺し。

私の唯一の必殺技。

相打ち上等で、モーニングスターを上段から振り抜く。


今回も賭けに勝った。

相手は受ける為に刀を戻したが、鉄球は刀をへし折り、相手の頭に直撃する。


これで2つ。



後の小屋から声がする。


「あのクソ司祭。何が兎狩りだ!話が違うぜ。」

私が振り向くと片手剣を構えた3人が既に包囲する様に陣取っていた。


構えから分かる。

手練れだ。

この3人に連携されては、手も足も出ない。

だが、どうにかして、後1人ぐらいは闇への旅路に付いて来てもらおう。


私がモーニングスターを頭上で回転させタイミングを測っていると……。



咆哮と共に上から岩が降ってきた。


まず岩が着地で目の前の1人を潰す。

2人目は岩が正面から殴りつけると大きく、ひしゃげ倒れる。

3人目は背を向けたが、そこは私が鉄球を叩きつけ沈黙させた。


[あの爺さんが言った通りだ]

岩が喋る。

ぐももった低い声。


[遅くなったな、すまん、ハイレン]

エルフ語?

しかし、この声は……。


「[〘第3クォーター〙?何故こんな所に?]」

降ってきた岩が、いや岩の様なトロールがそこに居た。

知ってはいたが、驚異の飛翔(ジャンプ)からの制圧。

恐るべきトロール。

いや、ハイパートロールと言うべきか?

しかしハルピアから、どうやって聖都まで来たのだろう?

私は再度問うた。

「なぜ聖都に?」


[もちろん、ハイレンを助けにきたんだ。]

当たり前の様にトロールは答えた。



聞けば、あの後すぐにブライ君とは別れたらしい。

ブライ君は約束があると言っていたそうだ。

私がフィーバーの最後を話すと、笑う。


[なるほど、茶番だ。]

私は意味が分からないと伝える。


[前にも、言ったろう?茶番だ]

トロール流の言い回しは、やはり意味が分からない。


質問を変え何故私を助けに?

と改めて尋ねた。


[運命だからだ]


今度は運命ときた。

更に分からない……。


取り急ぎ、5つの遺体に祈祷をすると、私と[第3クォーター]はその場を離れた。

私の黒歴史がまた1ページ。

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