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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第12章 兎達の戦い

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別れ

ムメイアプリの元ネタは……わかりますよね(笑)


ハイレン視点です。

旧レパタの砂漠を出て、ニキアを抜け、私達[茶色い雪兎]とトロール1匹はハルピア近郊まで戻ってきていた。

あと数日でハルピアに帰り着くと言う日の夜。


[ハイレン、俺、夜の間に姿を消す。お別れだ。]

突然、[第3クォーター]がパーティを去ると申し出た。


「[色々世話になりました。]」

私は[第3クォーター]に礼を伝える。

最近感覚的に麻痺していたが、トロールと街中を歩くのはハルピアでさえ、普通ではない。

たしかにパーティを離れるなら今が潮時だろう。


「竜人には気をつけて。何しろ『ポン刀一本でトロールに挑んだら……』とかありますから。]」

別れの挨拶替わりに[第3クォーター]から聞いた物語を引用した冗談を話すと笑った。


最近[第3クォーター]のエルフ語がスムーズになってきていたので、トロール流の様々な物語を聞いていた。


一時、転生者を疑いもしたが、今迄記録に残るの転生者は全て人間だった事を思い出し、今では物語好きのトロールと考えている。


私が聞いたのは、竜人族の不器用な男が惚れた女の為にリザードマン刀でトロールと戦う話で、結論としては惚れていた女は戦った男の兄と結婚してしまうのだが、面白い話だった。


ちなみに実際はトロールと一騎打ちして勝てるとは思わないが、リザードマン刀をポン刀と呼ぶ竜人族でも少数派の刀術流派は存在している。


[俺がスマホの『ムメイ』アプリで読んでいた時は主人公のポン刀使いに感情移入していた。あの怪しいアプリの物語はこの世界での事実だったのかも知れない。]


スマホとか、アプリとか、トロール流の概念には、まだ分からない事も多い。

だが、私の至高神の教えについての話なども半分以上通じてなさそうだから、種族、文化が違えば、そのような物だろう。


[第3クォーター]はトロールだが、今では良い話友達の様に感じていたので別れるのは正直残念に感じる。


私が幼い頃、両親に[永遠の神]に捧げられそうだった所を旅司祭に助けられた話をした唯一の相手だ。



「ハイレン、トロールが去るならブライも自由にしてやりな。」

突然後から声が掛かり、フィーバーとブライ君が現れた。

夜営交代には、まだ時間があるから、どうやら起こしてしまったらしい。


「アタイらは、これから聖王都に帰る。奴隷とはいえダークエルフを連れていたら白い目で見られるからねぇ。」

たしかに聖王国では魔族とダークエルフは問答無用に殺されても文句は言えない。


初代勇者の凱旋の時でさえ、英雄リューリュが苦労した記録が残っているぐらいだ。


魔族はわかるがダークエルフが禁忌なのは聖王国建国にエルフが深く関わっているからと言われている。


「持ち帰れないなら殺しちまうか、ハーフエルフ屋に種エルフとして売り払うかが筋なんだがねぇ、ハイレン、嫌だろう?」

ブライ君が縋る様な目で私を見ている。

私なら、どちらも遠慮したい選択だから気持ちはわかる。

奴隷契約ある限り自害も出来ない。


「アロマには魔術に不備があり、逃げられたと話しゃ分からないよ。アタイらに魔術師は居ないんだからさ」


「わかりました。ブライ君、貴方の信じる神の名で報復をしないと約束して、平和裏に去るなら、自由にしましょう。」

❲魔術の奴隷契約❳は主人側からなら解約出来る。


私の申し出にブライ君は[妖魔の神]に誓いパーティを去った。

別れの言葉もない、あっさりとした別れだった。

バトル色の強い作品を読むと、面白いなぁと思う反面、書くのは難しいなぁって思います。

例えば蜻蛉と八相の構えの違いを文章で示せって言われても……。

それに、そもそも蜻蛉や八相が「刀の構え」です。から説明必要かもしれませんしね。

「なろう」ではないですが、格闘系でボクシング用語の文章が羅列されていて「漫画にして」って思った経験ありますので(笑)


私の黒歴史がまた1ページ。

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