砂漠夜話
転生に失敗したのでトロールやってます。
とかのタイトルかなぁ~(笑)
ハイレン視点です。
私達[茶色い雪兎]とトロール1匹が岩場で待っていると、ブライ君が[時間圧縮水晶]2つにバジリスクサボテンを封入してきた。
片方はダークエルフのオルガ族に自動回収されてしまうが、ブライ君の出身一族はこれで助かると言う。
リーダーのアロマは妖魔に渡す方を破棄する様に求めたが、ブライ君は自分でも、どちらが回収される方か分からない様に水晶を入れ替えていた。。
「ハイレン、嘘をつけない様に命じた後に、回収魔術が、かかっている方を示す様に命じなさい。」
アロマが私に命じる。
「ブライ、嘘偽り無く、回収される水晶を示せ。」
まるでアロマの召使いになった気分がするが、貴族と平民なのだから仕方が無いと割り切る。
「我が主ハイレンに正直に答える。僕の魔術の実力デは分からない。」
契約魔術で真実を告げさせても、分からない物は分からない。
そんなやり取りがあり、破棄は断念された。
見た目は、まったく同じだから、時が来て消えるまで、妖魔由来の水晶は本当に分からない。
「仕方がありません。しかし……奴隷に躾が必要ですね。」
「何発か撫でて、骨の数本でも折れば、愚かさを恥じて従順になるかも知れないねぇ。隊長。ちょっと痛めつけるかい?」
「フィーバー、僕は使命を果たした。好きにするガいい。」
「へぇ、そうかい。今迄の経験だと、大抵は直ぐに『許して』とか『殺して』とか言い始めるんだけどねぇ」
肩を廻しながら、フィーバーが笑みを浮かべる。
「フィーバー止めなさい。奴隷虐待は許しません。隊長も隊長です。貴女は逆に自分が捕虜になりそうだった時の事を考えたりしないのですか?」
私の指摘に隊長の顔が屈辱に歪む。
「フィーバーだって、考えたりするでしょう!」
「しないねぇ。気の効いた傭兵は捕まりそうになった時使う毒の小瓶ぐらい持ってるからねぇ。」
大剣を抜きながら、フィーバーは喋る。
「アンタだって見たはずだろ。チシナの死に様をさ。それとも死んだ仲間なんて、もう忘れちまったかい?アタイはあんな風には、なりたかないのさ。」
私もモーニングスターに手を伸ばす。
こんな時「止めなよ」と止めてくれたギフトは、もういない。
「待っタ。待っタ。まだダ。仲間割れなら報酬を払った後にしてくレ。」
案内のデザートリザードマンが割って入る。
「まだ近くにサンドチューリップが徘徊していル。危険ダ。レパタに戻るまでは争う相手が違ウ」
[茶番だ、落ち着け、ハイレン、茶番だ]
トロールにも止められた。
「2人共、止めなさい。」
アロマが不機嫌そうに最後に命令を下す。
ブライ君への躾はウヤムヤになった。
夜
サボテンの生息地から離れ、[第3クォーター]と夜営をしている。
昨日までは隊長のアロマと私、フィーバーとギフト、の2交代で夜営をしていたのだが、ギフト亡き今、信用に欠けると夜営には入れてなかったブライ君とトロールも夜営に組入れている。
[ダークエルフ、トロール、睡眠時間、人間の半分、ハイレン休んでも大丈夫]
「[ありがとう。でも大丈夫、それより自由意志で、ついてきている理由が知りたい。]」
私はトロールが私達を食べないのを不思議に思っている。
北方の遊牧民が家畜を連れている感覚だろうか?
[理由、2つある。]
[1つは打算、俺トロール、単独ではオアシス、入れない。食べ物雑食大丈夫、でも水無いと死ぬ。]
確かにオアシスにトロールが単独で現れたら、餌を探しに来た襲撃者として対応されるだろう。
[もう1つは話が出来るから。]
「[話?]」
私は聞き返す
[そう、俺、気がつくとトロールだった。信じる信じない自由]
〘第3クォーター〙は不思議な話を始めた。
[俺はアスリートだった。第2クオーター終わって胸苦しくなった。周り暗くなり声がした。『契約するか』『闇に帰るか』俺は怪しいと思い契約断った。]
[第3クォーター]は転生者なのかもしれない。
前世はトロールではなくアスリートという種族だったらしい。
[男の声は『ならば次を探すとしよう』と言って去った。すると女の声がした『うそですよね?半分以上造ったのに、どうするのですか?これ?』]
[『仕方ないですね。勇者の素体が再利用出来て……ハイパワーでも不自然にならない……闇に帰るのは、お預けです』]
[そして俺、目が覚めた。トロールとして、続きを生きる事になった。だから〘第3クォーター〙名乗ってる。]
何か信仰に関係ある話だろう。
私には意味が分からない。
[だが、トロールは捕食者、個で生きる、俺、話相手欲しい。ブライは若い、ハイレン魔物使いのフリする、魔術なくとも、大丈夫。ブライ賢いが若い、無理もない。]
どうやら私を〘第3クォーター〙は話相手として気に入ったらしい。
しかし、トロールに気に入られるとは……至高神から賜わった試練なのか?
[食事はゴブリンとか、勝手に食べる、ゴブリン、蠍でも虫でも何でも食べ増える、世界中どこでも居る]
「[わかりました。取り急ぎハルピアに帰るまでは同行しましょう。サンドチューリップから助けてくれた恩もありますし。]」
私が答えると〘第3クォーター〙は両腕を上げて喜んだ。
でも果たして良かったのだろうか?
私の黒歴史がまた1ページ。




