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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第12章 兎達の戦い

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死体置き場

ツマミは元総理達の逸話?から(笑)



不意に目が醒めた。

久しぶりに悪夢を見ずに、ぐっすり眠れたので体調も良く、魔力も回復している。

口内に苦味があるので口を濯ごうと、あたりを見渡すと私は死体置き場に居た。

周りには私が殺した兵士達が丁寧に置かれている。


!?

私は何故目覚めた?

プラティーンの毒の小瓶を飲んだはず。

改めて確認するが心臓も鼓動している。

アンデットになった感じではない。


「クーア、目が覚めた?」

知っている声がかかる。

プラティーンが灯りを持って近づいてくる。

「[仮死偽装]の魔法薬は苦くなかった?」

口内に残る苦味は魔法薬の名残りによる物らしい。

「私も何度か飲んだけど、正直マズイよね〜」

なんでもない様にプラティーンは話かけてくる。

しかし何故……。


私が問いただそうとすると

「真夜中に死体置き場で話すのも何だからさ。部屋で飲みながら話そうよ。」

私はプラティーンの自室に招待された。



緊急事態省にあるプラティーンの部屋は生活感がまるでなかった。

セーフハウスの1つなのだろう。

ただそれでも、酒は常備されている様なのはプラティーンらしい。


「まず最初に確認だけど、私と一緒に帰国した直後から先程、目が醒めるまでの間の行動は一切公式記録には残らないよ。」


「軍法会議は緊急事態省大臣の権限で遡って提訴が取り下げられてるし、記録上は傷病休暇中だね。」


「エールで良い?えーとツマミは……」

あまりの事態に頭がついていかない。

私が黙っている分プラティーンが一方的に喋っている。


「魔術師は育成にコストも時間もかかるのに軍務省は無駄遣いし過ぎだよ。さらに実戦経験が豊富で、腕利きなら、本来なら莫大な移籍金積んでスカウトしなきゃならない。」

切り分けられた干乾びたチーズを皿に載せて私の前に置く。


「乾杯しようクーア。」


「何に……」

ようやく出た1言はそれだけだったが、プラティーンは気にしていない様だ。


「こうして、お酒が飲める事にさ。」

私が沈黙をしているとプラティーンが、また続けて話す。


「永く生きてると人生色々あるよ。」


「でも、1人の神官見習いの少女を助けたとか、石化病の患者を救ったとか、記録なんて残らなくても意義はあると思うよ。」

どうやら、しっかり調べられたらしい。

監視がついていた様には感じられなかったから、情報ソースはシーフギルドあたりだろう。


「それで次はローエルフと呼ばれる仲間を助けるとかしてくれると嬉しい。」

そう言うと自虐的に笑った。


「私なんてエルフで長生きだから、人間より人一倍色々あるからね。助けてよ。」

このエルフは腕利きだ。

何処まで本音で何処まで演技か分からない。


「もちろん席は用意してある。表向きは軍務省から緊急事態省への左遷になるけどさ。」


「で、早速だけど内務省軍と合同のバジリスク討伐隊に参加して欲しいんだけど良いかな?」


「隠密行動出来る魔術師って居なくてさ……」

何も話さない間に話だけが進行している。

私は苦笑いをした。

だが、どうやら内務省は石化病を元から絶つ、つもりらしい。


「プラティーン!」

私は話を遮った。

まだ何も決めかねていたからだが、プラティーンは違う解釈をした様だ。


「そうだね。任務の話は明日にしようか。せっかく魔法で冷えてるんだから。」

エールジョッキを持ちプラティーンが立ち上がる。

私も、つられて立ち上がった。

仕方ない、私の負けだ。


「「乾杯!」」

飲み干したエールは旨かったが、少し苦かった。

クーアの後日談は、これで終了です。

もしかしたら乱丁本書くかもしれませんが(笑)


感想、評価、いいね等お願いいたします。


私の黒歴史がまた1ページ。

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