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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第12章 兎達の戦い

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言い回し

繰り返しですが、この世界は15才成人です。

現実世界の日本では、お酒は20になってから……。

18才成人ですけど大人の都合ですね~

(社会的責任は生じるが出来ない事がある……まったく持って意味不明です)

幾日もの夜を越えて、[茶色い雪兎]は旧都レパタに入った。

砂漠に半ば以上埋もれる様になっている都。

遠くに黒い列を成しているのはジャイアントアントだろうか。


その体を成す上質な鉄はアント鋼と呼ばれ珍重されるが、はぐれアントを狩る以外は群れと戦う羽目になる為容易には手を出せない。


冒険者が一獲千金を夢見る死の都。

その宿屋兼酒場に私達は居た。


「魔族や魔獣ってのは飯屋経営が好きなのかねぇ。」

フィーバーがサボテン酒を煽り、息を吐きながら言う。


「魔族にはスローライフとかいう概念があるらしいけド……ウッグ」

上気した顔をしたブライ君がその隣で答える。

ダークエルフだから分からないが、肌が白ければ赤い顔をしているだろう。


ブライ君はリーダーのアロマに話かけられるのを嫌い最近はフィーバーの側にいる事が多い。

確かにアロマはフィーバーとは未だ距離があるから魔除けとしては最適であるのだが、それなら私の隣でも良さそうなものと思う。


「ハイレンさんには[第3クオーター]がいるではありませんか。」

私が空けたサボテン酒のお替りを置きながら店主のラミアが話す。

そんな物欲しげに見ていただろうか?

私の何を気に入ったのか、最近良く隣にトロールがいる。

まあ、今はトロールは謎の臓物煮込に夢中だが。


「フィーバー、ブライにサボテン酒飲ませるの止めなよ。」

ギフトが2人分サボテン酒を頼んだフィーバーに声をかける。


「坊やは先日15になったそうだからねぇ。酒ぐらい飲めるだろう。なぁ坊や」

フィーバーが、わざとらしく寄りかかる。

まったく持って羨ましい。


「当たり前ダ!ダ、ダから坊やって呼ブな!」

フィーバーを引き剥がそうとしながらブライ君は叫ぶが酔いが廻っているのか思う様にならない。


「そりゃ悪かったね〜坊や」

今度はフィーバーが抱き付く様にしてブライ君を絞め上げる。

骨と関節が軋む音。


「グ、ウ、グゥ〜ウッ、折れるぅ〜」

ブライ君は完全に遊ばれている。

まったく持って羨ましい。


「やはり、女将は魔王軍西方軍団の魔将[赤い毒蛇]ですよね?赤い鱗のラミアなんて早々居ないはずです。」

飲んでいたリーダーアロマが突然女将に直球の質問をした。

見た目は通常通りでもリーダーも随分酔っている。


「他ラミアの空似です。そんな骨董品級の魔将が宿屋の女将してるはずないじゃありませんか?」

尻尾で器用にアロマに何度もツッコミを入れながらが上半身は給仕をしている。


[俺、知ってる。『私は[赤い毒蛇]って呼ばれた魔将だけど、魔王軍が瓦解したから砂漠で、のんびり宿屋を開き魔将から女将になる事にした。』通称は魔将女将(ましょうおかみ)。]


[第3クオーター]のトロール流の言い回しに笑った。

このトロールは何か変だ。

愚かなトロールに見えて妙に人間臭い所がある。


少し前に、それを指摘したが[俺、実は『転生したら、俺は一匹のトロールになっていた』系トロール。]と、やはりトロール流で返された。


アロマはエルフ語が分からないから、トロール流の言い回しに反応は見せない。

そして、フィーバーとブライ君の絡みを忌々しげに眺めている。


[ハイレン気をつけろ、アロマは貴族、帰国すると貴族は無双、苦労知らない貴族、意地が悪い。」


「[確かにそうね。まあアロマは貴方に聞いた[悪役令嬢]って程ではないだろうけどね……。]」

私の呟きに今度は[第3クオーター]が笑った。




レパタでの酒宴から数日、[茶色い雪兎]は岩と砂の入り混じった砂漠を歩いていた。

案内で雇ったデザートリザードマンに従い慎重に歩みを進める。


「そろそろバジリスクサボテンが生えてる地域に入ル。ただサンドチューリップが出ル。」

リザードマン訛のある緊張した声。


「なるべく岩場を伝って歩くんダ。サンドチューリップが居たら、砂の上は危なイ」

本来は現地リザードマンでも、サンドチューリップが活発化する時期は近づかないらしい。


この案内リザードマンは博打で借金があり、アロマが報酬で釣って案内を引き受けさせた。

湯水の如く経費を使う。

以前の[茶色い雪兎]では考えられない。


バジリスクサボテンを封入する[時間圧縮水晶]自体も魔術師ギルドから借りてる訳ではなく軍が購入した物とアロマに聞いた。

それだけ[石化病]が聖王国を揺るがしている証拠でもある。


ちなみにブライ君のはオルガ族から貸与されているらしいが、やはり高価な魔導具だという。

期限までに返せなければ、魔術で強制回収される様になっているそうだ。


「見えたゾ。あれがバジリスクサボテンダ。」

色が青みがかっている以外は普通のサボテンに見える。


「だが反対側の岩陰に先客がいるゾ」


小さな布が張ってあり中で数人の人間らしき姿が休んでいるのが見える

どうやらレパタの民のサボテン収穫班らしい。


「友好的にはいかないですよね?」

アロマがリザードマンに尋ねる。


「あのダニは、いくつかの部族に別れ暮していル。それぞれ協力したり争ったりしているが、共通して、この砂漠の三分の一は自国だと主張していル」


「この地の水も草も全て自分達の物らしいゾ」

まぁ人間ならそう言うだろう。

聖王国にも、教団にも、着飾ったダニは山程いる。


「殺るしかないさ、でも戦力が分からないとねぇ」

フィーバーがギフトに視線をやる。


ギフトは頷き砂の上を、そっと歩き始めた。

魔将女将

文字の語感は浮かんだのですが、出オチ以上進まず断念したのは秘密です。

ラミアが尻尾でペチペチするとか考えたのですが(笑)


私の黒歴史がまた1ページ

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