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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第12章 兎達の戦い

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棚の教え

[貴族の命は金貨より重く、平民の命は銅貨で釣りがくる]

平民兵が自らを卑下し、貴族を揶揄する慣用句として知られている。


日が昇ると直ぐに[レパタの民]がオアシスから離れた。

野戦で思ったよりも被害が大きかったらしい。

この砂漠の何処かにある彼らの根城に引き上げ体制を整えるのだろう。


[第3クオーター]が夜のうちにデザートゴブリンの死体を回収し食べていた。

その様子を眺めていたら、

「[1つ喰うか?]」

と言われ、丁重に断ったのは余談だ。


今、私達[茶色い雪兎]はオアシスで補給を進めつつ休養を取っている。


ブライ君とは奴隷契約を結んだ。

契約魔術で[奴隷契約]を結んだ彼は私の隣で奴隷として食事を取っている。

毎日、私の3しかない魔力の内の1が自動消費されるのだが、魔力を使う職ではないので問題はない。


自分を奴隷として売り渡す魔術を使う時、ブライ君は諦めと悔しさの入り混じった顔をしていた。



「魔力2でも魔術士がいるのは助かります。」

アロマがブライ君に、にこやかに話かける。

ブライ君は困惑して、こちらを見る。

うん、悪くない。

美しい少年は癒しだ。


そういえば昔、見習い司祭としての修行中「美しい少女は癒しである」と言い放った高司祭がおり、蟇蛙にも劣る生き物と考えていた事を思い出す。


「隊長って、つい先日まで『良いダークエルフってのは死んだダークエルフだ』って演説してたよね」

ギフトがフィーバーに呟いている。

「細目だって、至高神の司祭だし。ダークエルフの[魅了]の魔術じゃないのかな?」


「2人共、単に趣向が変な方向に捻じれているだけさね」

フィーバーはサボテン酒を楽しみながら答える。


ドワーフの奉じる[工芸の神]の教えにある[心に棚を作れ]が何故か思い浮かんだ。

私は、あの高司祭とは違う。

純粋に美しい者を愛でているだけだ。



「そのダークエルフの少年に何か奢らせてくレ」

デザートリザードマンが話かけてくる。


「オアシスに寄生するダニを追い払ったお礼がしたイ」


ブライ君は、ちょっとした英雄だ。

その為か私達にも少し好意的にリザードマン達が接してくれる。


単に漁夫の利を得て、暴力で屈服させたと分かったら反動が怖い。

余計な事は喋れない様にしているが、奴隷とバレないかヒヤヒヤしている。


「僕はいい。外に待たせているトロールに何か飲み食いさせてあゲてくれ。」


[第3クオーター]はブライ君を助けた我々を仲間と認識している。

体格から流石に店には入れず、ラクダと共にラクダ小屋で日差しを避けていた。


意外にもトロールは擬態能力に優れ、普通なら怯えてしまう臆病な動物にも気付かれずに近づく事が出来る。

知らない人が見たら、ラクダ小屋には大きな岩が置いてある様に見えるだろう。




オアシスで3日程過ごし、旧都レパタに向けて出発した。

旧都レパタは[冠の魔王]の大魔法[核融合]により滅びたレパタの元王都。


オアシスの情報では魔獣、妖魔の巣と化しており、その近郊で採れる素材等を手に入れて帰れば一獲千金の夢のある都市だそうだ。


「『薬効あるバジリスクサボテン、珍味のスモールバジリスク、ミスリル合金を含んだサンドチューリップの花弁、ジャイアントアントのスチールの胴体、冒険者が欲しがるレパタの宝etc.』」


「『でも、大抵は生きて帰らなイ』がリザードマンの話の落ちになってたよね」

とギフトが言う。


「ギフトは契約を終えて、軍を退役したら冒険者になるんですよね。そんなに臆病じゃ務まらないですよ」

アロマがギフトに軽口を叩く。


「聖騎士殿と違って、アタイらの命は小銅貨の重さしかないんだ。死んだら終いなんだよ。」

フィーバーが微妙に突っかかるが、アロマは苦笑いで、それをやり過ごす。

リーダーが精神的に成長した様で助かる。


「[デカい蠍いる、喰っても良いか]」

[第3クオーター]が警告をしてくれた。

これでジャイアントスコーピオンが出るのは4度目だ。


[茶色い雪兎]は砂漠の旅を続けている。

中々忙しく、ここ暫く続けていた水曜日更新は無理になりそうです。


最近上から「経営者マインドを持て」とか寝言言われて閉口しています。

あの〜実際に経営者として仮定して考えると、そんな人材が今の給料で雇えるはずないと結論出来ますけど……(笑)。

まぁ可能性としてはSSRを引くぐらいの可能性。

無能な人材ばかりと嘆く前に給料に見合った人材が集まってると気付いて欲しい。


は!また愚痴ってる。


私の黒歴史がまた1ページ。


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