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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
11章 聖女の足跡

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悪夢

最近グタグタ話ばかりで、戦闘話入れたかったんだよぅ。(冷夏風前書き)

「ギフト、矢をありったけ持って来るんだ。そこの水夫!お前は火を消すんだよ!」

あたいらが、船の警備を始めた夜。

疫病を恐れた暴徒共が船を焼き討ちしようと仕掛けてきた。

街の治安傭兵達の笛の音が響くが、数は暴徒の方が多い。


「フィーバー、正面2人」

ギフトが火矢を射掛けてくる暴徒を指差す。


「分かってる!あたいは弓は上手くないんだよ!」

あたいと違い、次々と暴徒を射殺すプラティーンはエルフの面目躍如だが、如何せん多勢に無勢だ。


「フィーバー、煽動者がいるねぇ。あの神官に斬り込みに行ける?」

プラティーンが指差す所に大地母神の下級神官がいる。


「[狂乱の先駆者]裏界隈では有名な化物だよ。」

大層な2つ名持ちの化物かい。

殺るしかないねぇ。


「このままじゃジリ貧だろ?援護射撃は任せた。ギフト、プラティーンの直掩頼む。」

持っていた弓を相棒の大剣に変えると、あたいは走り出した。


「魔法かけるよ。フィーバー頼んだ。」

プラティーンが何か魔術を、かけてくれた。



「火を持って疫病を祓う。疫病の源を焼き払え!」

大地母神の下級神官が叫ぶと灰色の火矢が放たれる。

火矢を放つ中には港の格安娼婦もいれば、水夫見習いの子供もいる。

火矢なんてすぐに準備出来る物じゃないし、訓練なしに弓は使えない。

こいつは何かおかしい。

まぁ、やる事は1つ大剣を叩きつけるだけなんだが……ねぇ。


あたいは暴徒達をすり抜けながら煽動者に向かう。

今まで何度か暴徒鎮圧をしてきたが、普通は煽動者には熱狂的護衛がいるもんだ。

だが、こいつにはそれがない。

プラティーンが言ってた化物は比喩ではなかったみたいだ。


「何故、私の魔術が効かない?」

あたいが煽動者に辿り着くと、下級神官が向き直る。


「私の緑の目に、この距離で耐えられるはずがない。」

灰色の目をこちらに向けて叫ぶ。

辺りでは灰色の炎が燃えている。


緑の邪眼、こいつは魔獣ナイトメアだね。

悪夢を具現化する能力を持った魔獣。

物資不足に悩む先代魔王が開発させたという幻覚を実体化させる能力の化け物。

敵味方関係なく影響が出る為、ほんの数体しか造られなかったと軍の講義で聞いたが、流石魔族の都ハルピア。

ヤバい奴がいるもんだ。


「お前は灰になり崩れさる!」

魔力の圧力が、あたいに、のしかかってくる。

だが、あたいに緑の邪眼は効かない。さっきから赤と緑の色が分からなくなり灰色に見える。

プラティーンの魔術だろう。


「んな訳あるかい。あたいは夢なんか見てないからねぇ」


首を刎ねると、灰色の液体をまき散らし胴体が倒れた。

鉄臭い匂いは化物でも変わらない。


煽動者なき暴徒はその後すぐに鎮圧された。

メタ的魔族後書き

「あの〜私が言うのもなんですけど、魔族って失敗作ばかり造ってませんか?オーナー。」

「レイカル〜それはアイデンティティの確認ですか〜貴女は失敗作なんかじゃありません〜というより全ての生けとし生ける物は〜失敗作なんかじゃありません〜だから魔族は〜失敗作なんか造ってません〜」

むぅ、論理をすり替えられた。

(今の、むぅ、ってレイカさんポイかな?)

「アイデンティティついでに、精神体のサキュバスってどうやって造ったんです?」

「まず多重人格者を用意します〜そこから魔術で〜人格を一つづつ〜切り離して加工して〜……」


私の黒歴史がまた1ページ。

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