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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
11章 聖女の足跡

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呪い

討伐軍対魔王軍の合戦は短編にて(笑)。

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リーダーが「その事」に気がついたのはリキタの街を離れ、ノウルも近くなった夜営準備中の事だった。


「プラティーン、ハイレン、ちょっといい?」

簡易テントにゆくと[薬学日誌]を開いたリーダーが困惑した表情で座っている。


「2人もエルフ語出来ると思うけど……」

開いたページを覗いて見ると共通語で書かれていた前半から変わり、後半は意味の通じないエルフ語が羅列されていた。


私は自分の血の気が引くのがわかった。

「まさか、偽書を掴まされた?」

シャンデを撲殺してまで得たのが偽書だったとすれば、私は……。


「ところどころ共通語が書いてある。暗号化してるみたいだねぇ。ムゲットさんって裏仕事もしてたのかも……」

酒飲みエルフがノンビリと感想を述べている。


「どうしよう?」

リーダーが珍しく動揺を見せていた。


「どうするってリーダー、ハルピアに帰ってから暗号解読するしかないよ。この本の大地母神殿の扱いが雑だった理由が分かったねぇ」

あまりに他人事の物言いに、このエルフをモーニングスターで撲りつけてやりたくなる。


「しかし、リキタの街の当派の神殿を事実上封鎖に追い込んだ結果が[不完全な薬学日誌]では、私は軍務を解かれる可能性が高い。」

リーダーの顔色は悪い。


「なら、はいリーダー」

手のひらに隠せるぐらいの小瓶をエルフが取り出した。

「苦しまずに済むよ。多分使わないで大丈夫だと思うけど渡しとく。」


そう、リーダーは軍を追われたら借金の即時返済を迫られ破産する。

そうなれば機密保持も兼ねて鉱山に送られ、病か事故で死ぬまで働く事になる。


「芋が煮えたよ〜」

事情を知らないギフトの声が外から聞こえてきた。



数日後

我々が訪れたノウルの街は揺れていた。

ジナリー王、戦死。

王都からの早馬がつい先程知らせたらしい。


「隊長。肝心の合戦はどっちが勝ったのかねぇ?」

フィーバーが明日の天気でも尋ねる様に隊長に訊く。


「勝っていれば、王の戦死だけが伝えられる訳がない。勝ったのは魔王だろう。」

リーダーが冷静に指摘する。


「ほれより、次のジナリー王が誰になるかぁ?問題れすねぇ。」

酒飲みエルフは、今度は本当に他人事の為か屋台で買った果実を噛りながら話す。


ジナリー王は子沢山なのに王太子は定めて、いなかった。

貴族や聖職者を後ろ楯にした王子達の暗闘になるだろう。


「魔王討伐軍と魔王がどうなったかで、我が国の浮沈が変わる。ハルピアに付いたら情報を確認しよう。」

リーダーの発言に酒飲みエルフが果実の汁が付いた指を舐め、笑いながら言う。

「自分を殺すかも知れない国の浮沈を気にするなんて、リーダーは軍務大司祭に呪いでもかけられるの?」


ギフトがぎょっとした顔をする。

「殺すって、どういう意味?」


「金さぁね。ギフト、軍は魔術の才能ある者を借金で縛って使うのさ。で、使えない魔術師となれば、鉱山奴隷か新型魔術の実験台にしちまってサヨナラって訳さね。」

フィーバーは本人を目の前に歯に衣着せぬ物言いをした。


「リーダーは、こんな任務についてるぐらいだから。もう後はないねぇ。」

空気が読めないエルフが追撃をする。

リーダーは有能な魔術師だが、生きる事には不器用だ。

そして誰よりも、病に苦しむ王国民を案じている。

それが……。

世の不条理に怒りが沸き上がってくる。


「プラティーン、言い過ぎだよ。ハイレンに撲り殺されるよ。」

ギフトの言葉に、無意識に掴んでいたモーニングスターの柄を離した。

呪われているのは私かも知れない……。

この世界での破産は債務がなくならず自由がなくなります。


現代日本では賭博や違法行為でない借金なら破産が認められ債務がなくなりますし、10年でブラックリストからも削除され銀行やカードが利用可能になります。(破産後しばらくは再破産出来ません。)


ネットで調べると

利益追求型弁護士は破産のデメリットを強調し債務削減を勧めています。(つまり弁護士が積極的に入って手数料を貰うパターン)

理念追求型弁護士は破産するメリットを強調し再出発を勧めています。(赤色系が多く手数料より○○思想を広めたいパターン)

実際は事業とかしていないないなら、デメリットあまりなさそうですが、まぁ一長一短ですね~。

弁護士は賢く使いましょう(笑)


私の黒歴史がまた1ページ

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